健忘絶対回避術

忘れないこととは,覚えないことと見つけたり

忘れないこつは,覚えないこと.うまく記憶しようなんて,馬鹿げたことは絶対に考えないこと.では覚えないためにはどうしたらいいか?

1.すぐ捨てる:忘れる対象を作らない

あとで何かの役に立つかも知れないと保存しておくことぐらい害の多いことはない.そんなことをしていると,保存庫はすぐ一杯になってしまって,もっと大切な情報を納める空間がなくなってしまう.そればかりでなく,どうでもいい情報の中に,大切な情報が埋もれてしまう.

あなたは,冷蔵庫の中を腐りかけた食べ物で一杯にして,肝心の新鮮な食べ物を入れる空間を失っている.そればかりでなく,腐っていない食べ物にまで腐った食べ物の匂いが移ってしまうという愚を毎日繰り返している.

これはとっておいた方がいいかもしれないというものは99%,あとになっても見ない.時間がたてばたつほど,あとからあとから新しいものがやってきて,取っておいたほうがいいかも知れないと思ったもののことなどすっかり忘れてしまう.全てのデータは生まれた瞬間,目に付いた瞬間に最大限の価値があり,その価値は時間とともに急速に低下する.

2.紙のメモは最悪

ただの紙のメモは最悪.なぜなら,まずどこかへ必ずなくしてしまう.また,メモを書いたことを忘れる.メモを置いた場所を忘れる.このように忘却の原因が集約されているのが紙のメモというやつだ.ではどうすればいいか.書き留めるという行為は正しい.要は,書き留めた物の行き場所,あり場所をはっきりさせればよい.そういう意味で手紙という文書の形は非常に優れている.

3.手紙:自分で覚えないで他人に覚えさせる

手紙は,はじめから日時と相手を特定する文書なので,整理にはまことに好都合である.自分の考えを他人にわかるように伝えなければならないので,考えを整理し,反復して考えることによって自分の記憶を強化する利点もある.

手紙を書くときは,その場である程度案件を処理しなくてはならないから,万が一忘れてしまった場合でも被害が少ない.また,手紙は,本来自分が覚えておかなくてはならないことを,その物事と責任の両方を相手に植え付けてしまう.だから,自分が忘れても,他人に責任をなすりつけることが出来るという,思わぬ余慶もある.

4.すぐ処理する:忘れる暇を作らない

情報を得たら,すぐその場で適切な場所に情報を放り込んでおく.例えば,3カ月後の予定が決まったら,すぐその場で3カ月後のその日に書き込んでしまう.2カ月後になって書き込もうなんて絶対に思わないこと.思い出すのは3カ月後のその日の前日が関の山.普通はその日を過ぎてしまって,どうにもならなくなった時に思い出す.

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