くも膜下出血を起こした患者160例の一親等の血族626人に対して,MRIによる動脈瘤のスクリーニングを行い,動脈瘤が疑われた人に対しては脳血管造影を行った結果,25人に動脈瘤が見つかった.そのうち18人に手術が行われ,11人に神経学的な後遺症が残った.この18人については,平均して一人あたり2.5年の寿命の延長と引き替えに,19年間後遺症を引きずって生きる人生を背負い込んだことになる.以上は日本の脳ドックからの報告ではない.れっきとしたNew England Journal of Medicineの論文である.
The Magnetic Resonance Angiography in Relatives of Patients with Subarachnoid Hemorrhage Study Group. Risks and Benefits of Screening for Intracranial Aneurysms in First-Degree Relatives of Patients with Sporadic Subarachnoid Hemorrhage. N Engl J Med 1999;341:1344-50.
検診とは何だろうか.予防医学とは何だろうか.”医学の発展”のおかげで,我々は不老長寿の薬を求めた始皇帝と同じように振る舞っている.遺伝子診断による疾病リスクの評価とやらも,こんな惨劇をばらまくようにならなければいいのだが.