◆ 結び  ◆

日本女性技術者フォーラムの活躍と医療分科会の開催

 第11回国際女性技術者・科学者会議 (11th International Conference of Women Engineers and Scientists, ICWES-11)が日本で開催のはこびとなりました。その国際会議に医療分科会が結成され、医学論文集と共にこのような立派な随筆集を出版することができましたことは、日本技術者フォーラム代表として準備に関わってきた私にとって感無量のものがあります。国際会議開催のための最初の準備会が開かれた頃から日本経済は下降線をたどり、開催資金が果たして集まるのか本当に半信半疑でした 。経団連が経済界募金を約束してくれたものの、会議の参加登録費用の半分を各団体や会社に割り振るということで、大変な労力をかけて各団体や会社をまわっても、僅かな資金しか集まらないことがわかり、途方にくれていました。その後、途中で濱中すみ子氏が参加してくださることになり、医療分科会という医療関係の発表の場を国際会議の中に創って、医療関係の方々の参加をうながすと共に、ひろく製薬業界からの支援を頼むことに致しました。幸い多くの高名な先生方に顧問になっていただくことができ、日本製薬団体連合会からご支援の約束を頂くことができました。快く顧問になってくださった先生方、ならびに日本製薬団体連合会に厚く御礼申し上げます。この決定のお蔭で、他の財団や会社からの支援もうまく動き出して、ここにめでたく開催のはこびとなったわけです。日本製薬団体連合会傘下の各製薬会社のご支援がなければ、医療分科会のみならず、第11回国際女性技術者・科学者会議そのものの開催も不可能であったと思われます。この場をかりて、関係の方々に深く御礼申し上げます。

 さて、この国際女性技術者・科学者会議は、[地球環境のための科学と技術]をメインテーマにしていますが、それと共に世界各国の女性同志の連携によって、社会における女性の力を向上させたいという目的を持っています。実際に医療分野には、 医師、看護婦、臨床検査技師、薬剤師など非常に多くの女性が働いていますが、日本の現状は女性にとって厳しく、必ずしもよい環境にあるわけではありません。国際女性技術者・科学者会議が、若い医療分野の女性の力の向上に役だってくれることを祈っております。そして、この医療分科会による医学論文集と随筆集が、これから医療を学ぼうとする女子学生と、すでに医療に従事されている若い女性の方々の刺激になってくれることを祈っています。  さらに、濵中すみ子さんが中心となって、医学部の女子入学生の変遷と、医学部における女性教官数の変遷をアメリカと比較し、日本女性技術者フォーラムからの発表論文としてまとめましたので、日本における医学部の女性の現状をご覧いただけるかと思います。

 現在の日本は、先進諸国の中で女性の社会進出が低いといわれていますが、来たる21世紀の日本が女性にとって住みよい国となる事を期待しております。

  平成11年7月
        日本女性技術者フォーラム代表
        第11回国際女性技術者・科学者会議副会長
           前国立国際医療センター研究所 代謝疾患研究部部長
                大島美恵子