石井 道子 第11回国際女性技術者・科学者会議組織委員会会長、参議院議員
第11回国際女性技術者・科学者会議(ICWES-11)が日本で開催されることを聞いたのは、4年前の「女性科学者の会」総会に出席した時でした。ICWESの極東代表を務められている数野会長が重大な決意をもって発表され、協力を求められたことは記憶に新しいところです。私が門外漢を自認しながら、女性科学者の会に入会して10数年になりましたが、その間、様々な苦難を克服して立派に研究活動を続け、実績を上げられている女性科学者の皆様に心から敬服して参りました。私が大学卒業後研究室に入局し、研究活動に一生をかけたいと志を立てたにも拘わらず、開業医に稼ぎ、地域医療に明け暮れた20年後、不思議な運命によって政治の道を歩むことになりましたので、私が果たせなかった夢を託したいと思いながら、女性科学者の地位向上等何かお役に立ちたいという思いにかられてお付き合いを続けて今日に至っています。過日は功労賞をいただき、身に余る光栄で感激しております。
私が国務大臣・環境庁長官(1996年11月〜1997年9月)を務めた当時、「ICWES-11」の統一テーマが「地球環境における科学と技術」でもあり、大会会長をお引き受けすることになり、責任の重大さを痛感しつつ、特に資金づくりに配慮しつつ準備を進めてまいりましたので、この大会が成功することを心から願わずにはいられません。
1992年、地球サミット(環境と開発に関する国連会議)が開催されて以来、地球規模での環境問題の関心が高まり、我が国では1993年環境基本法が成立、環境基本計画の策定に基づく取り組みが始められました。特に私が大臣就任中、環境庁20年来の悲願だった「環境アセスメント法」が成立し感無量でした。更に1997年12月開催された地球温暖化防止京都会議(COP3)の事前準備に携わり、その成果をふまえて昨年、地球温暖化対策推進法の成立に至りました。今日の環境問題は人類全体の生存基盤を脅かす問題になりつつあり、今後の対応のあり方が子や孫の世代の暮らしや経済活動の発展の鍵を握っているといっても過言ではありません。
戦後50余年、我が国は経済・産業活動が優先され、科学技術が進歩する中で、経済大国として大量生産、大量消費、大量廃棄のライフスタイルが定着する一方で、廃棄物の焼却によるダイオキシンの発生や環境ホルモンの人体への悪影響が指摘され、有害化学物質による環境汚染対策は急務です。昨年は補正予算において環境対策や研究費が大幅に増額されたことは画期的なことでした。
公害問題の未然防止のためには、作用が未解明な有害化学物質の科学的知見に基づく速やかな環境政策の実行が不可欠です。また、先端技術を生かした調査研究と共に、環境効率性の視点を生かした新エネルギー開発やエコ産業育成の必要性も高まっています。特に国や自治体の取り組みと共に、事業者や国民が連携した適切な日常活動が期待されている時はありません。身近な毎日の暮らしの中における女性の視点と行動力を生かした取り組みも必要です。最近、理科離れが心配されている子供達が、環境と科学に理解を深め、日常活動に生かせる環境づくりを進めるべき重要な時を迎えています。
「ICWES-11」の会議と並行して行われる公開シンポジウム「地球環境に果たす女性の役割」及びジュニアサイエンス会議やエコクラブの参加行事は有意義であり、国際交流により大いに啓発活動に役立つことを期待しております。「ICWES-11」の成功を目指して女性パワーが充分発揮され、その成果が将来を見据えた地球環境問題の展望を拓くために、充分生かされることを心よりご期待申し上げます。