ケベック血小板障害
【ケベック血小板障害とは】
ケベック血小板障害(Quebec platelet syndrome; QPS, Quebec platelet disorder; QPD)は、α顆粒のウロキナーゼ型プラスミノーゲン活性化因子(uPA)が増加している疾患です。
uPA遺伝子PLAUの変異があり、詳細なメカニズムは不明ですが巨核球でのuPA発現が上昇しています。
α顆粒中のuPAの増加の結果、α顆粒中の蛋白質がプラスミンによって分解され低下します。α顆粒中の凝固第V因子が低下するため過去にはfactor V Quebecとも呼ばれていました。QPSの血小板は活性化されるとα顆粒からuPAが放出されるため、止血血栓局所で線溶系の活性化が止血血栓形成の初期から惹起されることになります。このため止血血栓の早期分解が惹起され出血傾向が認められると考えられています。一方、全身的な線溶系の活性化は惹起されることはありません。

【遺伝形式】
常染色体顕性(優性)遺伝形式をとります。

【臨床症状】
手術、歯科処置、または外傷後の遅発性出血であり、線溶制御不能状態と似た出血傾向を呈します。

【検査所見】
血小板数の減少を呈します。また血小板内の凝固第V因子などの低下を認めます。

【治療】
トラネキサム酸などの抗線溶療法を行います。