Chédiak-Higashi症候群
【Chédiak-Higashi症候群とは】
Chédiak-Higashi症候群はLYST(lysosomal trafficking regulator;CHS1)という遺伝子異常によって引き起こされる、食細胞の異常が関与するまれな原発性免疫不全症です。好中球および他の細胞(例,メラノサイト,神経シュワン細胞)に巨大ライソゾーム顆粒が生じますが、この異常なライソゾームはファゴソームと融合できず、このため捕食した細菌を正常に溶解でません。重篤な易感染性に加えて、皮膚や眼の色素脱出や進行性の神経症状、好中球などの食細胞の細胞質に特徴的な巨大顆粒を認めます、本症は、血小板の濃染顆粒の異常に基づく放出障害に起因した易出血性を示します。

【遺伝形式】
常染色体潜性(劣性)遺伝形式をとります。

【臨床症状】
繰り返す細菌感染症などとともに部分的白子症を示します。また軽度の出血傾向を呈します。

【検査所見】
出血時間の延長が認められます。血小板凝集能検査では,リストセチンを除くADP、コラーゲン、エピネフリン、トロンビンなどのアゴニストによる二次凝集反応が低下し、セロトニンの放出障害が認められます。また末梢血塗抹標本での好中球細胞質封入体(メイ・ギムザ染色、ペルオキシダーゼ染色)が認められます。

【治療】
出血傾向に対しては対症的に対応し、局所圧迫やトラネキサム酸投与などを行います。血小板輸血も考慮されますが、唯一の根本治療が造血幹細胞移植であり、その時に血小板輸血が必要となりますので、血小板輸血不応状態を避けるため、回数は可能な限り少なくする必要があります。造血幹細胞移植を行なっても神経症状は進行します。造血幹細胞移植を行わない場合は感染症やリンパ網内系の異常増殖に関連した急性増悪により10歳までに死亡します。