ラットでも無アルブミン血症(analbuminemia)のモデルがあります。このラットは佐々木研究所の長瀬スミ先生がSprague-Dawley rat (SD ラット)の中に認められた自然発症無アルブミンラット(遺伝子組み換え等ではありません)から系として樹立されたもので、NAR (Nagase analbuminemia rat)と呼ばれています。このラットでも浮腫や胸水・腹水は認められません。フロセミドに対する反応性は低下していますが、血清アルブミン値を上昇させない少量のアルブミンと混和後に投与すると利尿が認められます(Mechanism of Furosemide Resistance in Analbuminemic Rats and Hypoalbuminemic Patients. Kidney Int. 32(2): 198-203, 1987. →文献へ)。しかし同量のアルブミンを投与したのちにフロセミドを投与しても利尿は得られません。これはアルブミンの薬物輸送系に対する効果であり、膠質浸透圧に対する効果ではないと考えられています。
この様な先天性無アルブミン血症の症状を考えると、アルブミンの膠質浸透圧に対する効果は実際のところどの程度重要であるか考え直す必要があり、またアルブミン投与の必要性についても考え直すべきなのかもしれません。
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