B. これまでの成果と今後の展望

2. 孤発性ALSに働いている疾患特異的分子異常について

(ア) 孤発性ALSでは、運動ニューロン選択的に、未編集型GluA2が発現している 11, 12
(図4))

①    単一運動ニューロンに発現する未編集型GluA2の発現割合は、GluA2 mRNA全体の0%~100%と大きくばらつく 11

②    GluA2 mRNAの発現は低下していない13

③    運動ニューロンに未編集型GluA2が発現しているALS症例でも、小脳のプルキンエ細胞では発現していない(部位選択的) 11

④    40例以上の孤発例全例で未編集型GluA2を発現する運動ニューロンがみられる(汎発性)14

⑤    他の運動ニューロン疾患 SODI関連ALS(ALS1)、球脊髄性筋萎縮症(SBMA)を含む疾患対照、健常対照の運動ニューロンは、すべて編集型GluA2のみを発現している(疾患特異性)11,12,15

(イ) 孤発性ALSの運動ニューロンではADAR2の発現低下に依るA-I置換活性が低下している。
(図5)

①   ADAR2 mRNAの発現レベルの低下、ADAR2特異的RNA編集部位における未編集型mRNAの割合が増加している 2,14

②   これに対して、ADAR1、ADAR3 mRNA発現量、ADAR1特異的編集部位のRNA編集活性には変化がない 14

(ウ) 以上は我々が見出した異常だが、RNA編集異常の発見の後、TDP-43病理(後述)も疾患特異性の高い病態であることが日米の研究グループから独立に報告された 16,17

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