小松島赤十字病院見学記録


1999年3月11日(木)午後3時00分〜午後5時
     3月12日(木)午前8時30分〜午後0時
見学者:杉岡陽介(検査部)



                  視察報告書

日時   1999年3月11日(木)午後3時00分〜午後5時
          3月12日(木)午前8時30分〜午後0時
場所   小松島赤十字病院
目的   検査システムおよび検査の効率化の見学

概要
外来患者数 1日約1400人
ベッド数  564床
検査部人員 事務を含め31人
上記データは平成10年7月現在である。

視察報告
検査の効率化においては、私自信の感覚を大きく変える内容であった。診療との繋がり
、 データの精密製、報告の迅速化、検査部の効率的運用、どれをとっても今後の東大病院検査部
には必要不可欠、今後の病院検査部の存続には非常に参考になる内容であった。
検査システムも独自に開発に発展させた経緯があり現場の意見が繁栄し私自信も見ていて
楽しくなるシステムであった。

検査の効率化について
採血は 中央採血 であった、 ここでの難点は検査室と採血室に導線が長い事である。ただし、
検査部の取り決めとして採血室前を通過する技師は必ず検体を検体検査室まで運ぶ事とし、
決まった人員がメッセンジャーをするのではなく誰もが運ぶとし運用を見ていると、
ほぼ採血後リアルタイムに検体が運ばれているようである。検体は受付後、すぐに
分析装置 ( 化学 系、 血液 系)にかけられるこの点はバーコード運用とし、
バーコード対応機種の導入により、 誰でも分析装置にのせられるとしていた。
生化学検体も到着後すぐに遠心していた、採血管はセキスイの 高速凝固採血管であった。
遠心時間 は4000rpm2分であった、フィブリンが出た検体は ビーズ を入れて
再遠心する事とし、固まるまで待つといった作業はしていなかった。
生化学系の測定順は測定時間の 長い物から順 に測定しサンプリングが終わったら次の分析装置にのせる
といった流れ作業が可能なレイアウト にしていた。 つまりは、誰でも分析装置に乗せられ、
スタートを押せる。そこにはセクショナリズムという言葉や、部屋単位という言葉は
存在しなかった。実際に現場の技師に部屋単位の事を聞いたところ、
認識は部屋ではなく検査部だという答えが帰ってきた。
電気配線に関しては、必要なところに供給できるよう天井にフリーアクセスな 電源ライン を設置していた。
これにより、電源は必要なところにスライド すればすぐに使用可能となる。
入院患者の採血も中央採血で行う空腹時採血とは午前8時、11時午後4時の3回チャンスがある、
午前8時は時間的拘束により無利なので11時と4時には動ける患者は 中央採血室
来てもらい採血を行っていた。この事も採血後30分〜45分でほぼすべての測定データが
でるため診療には十分であるとの事であった。
検査システムについて
このシステムは私は数年前から気になっていたシステムである。
近清技師長から以前聞いていたので是非見たいシステムであった。
よくできたシステムである。
測定データは受け付け順にウィンドウに表示 され、各採血管種により
測定済み、再検中、仮報告がリアルタイムに表示される。報告済みになると画面から表示が消える、
すなわち1日終わるとすべてがこの場面がら消えるという事である。
報告書はここから各外来部署のプリンターに報告が行われ、
プリントアウトの場所も変更可能である。
これは、他科診療の場合に違う部署にプリントが可能となる。
測定データは各セクション単位でデータを見るのではなく、 患者単位でデータを見ていた、
検査履歴もウィンドウで確認できた、レスポンスは1秒以内だった。
したがって、実際に検査データを見て判断しているのは1人 であった。
コントロールのデータも端末に取り込みデータチェック担当が確認していた。
1つの端末にすべてのデータが入ってくるので生化学のデータがおかしくても
血算はどうかなどと患者単位で精度管理ができ効率的かつ正確であった。
データの報告やチェックのタイミングもウィンドウ処理により判断しやすくできていた。
手元には電話やプリンターといった機器が設置されていた。
迅速報告
血算や生化学などで採血後30分〜45分でほぼすべての測定データがでる
特記事項として、腫瘍マーカーや各種ホルモンもこの時間内で報告していた。
この件は検査部職員の意識の問題が大である、小松島赤十字の検査技師は
検査 イコール リアルタイム報告の意識が出来上がっている。
分析装置の購入基準も迅速性を第1としていた。
精密かつ高感度で測定時間が2時間の検査試薬を1テスト1000円で購入するのと、
多少データはばらつくが測定時間が15分、試薬は1テスト500円ならば
迷わず後者を選ぶという事であった。1000検体に1つあるかないかの陽性検体のために
他の999検体の測定結果を遅らせる事はできない、との事である。
スクリーニングとして1テスト500円の試薬を使用し、検査依頼をする
医者のほうで怪しいと思えば第2ステップとして1テスト1000円の検査を行えば良いのでは
ないだろうか。
当院では搬送導入後7年を経過したが未だにリアルタイムに移行できていない部署が
存在するようである。是非見習うべき点である。

分析装置担当
各装置には個別に 装置担当 を決めていた。
これは部内で午前は生化学午後は細菌等といって頻繁に 作業部署を変える のでトラブル時の
対応ができるように決めていた。もし、トラブルが起こった場合は担当が対応する、
対応中はその担当のルーチンのカバーを他の人員で行い負担にならないようにしていた。
診療との繋がり
患者診療計画への参加として各科ごとに入院や術後の1日目から推賞検査セットを提案していた。
診療検査点数をもとにした検査セットの内容である。
人員配置
検査技師である以上、ある一定の検査技術はもっていいなければならない。
この事を前提とし、すべての技師がどの部署に行ってもルーチン業務ができるよう、
作業マニュアル を作成し 教育されていた、日々の業務の内容を3段階にわけ、
初級、中級、上級とし誰でも中級までの業務は可能としていた。
これにより、誰でも忙しい部屋にはフォローに行ける。
各部署の忙しい時間にはその部署にフォローに行き、検査部内を流動的に技師が配置されていた。
栄養指導、調理指導室
栄養指導の流れとして、患者の家族を対象として栄養指導および 調理実習 をしていた。
楽しそうな場所である。
感想
今後の検査業界の流れを考慮すると高かろう良かろうの時代ではなく流動的検査部の構築や
検査の仕方も変えていかねばならないと感じた。
最後に、近清技師長からの話しで検査部にとってのサービスを提供する相手は誰か、それは
患者ではなく、医師や看護婦ではないかとの言葉が印象に残った。



                            以上