会長挨拶
日本大学医学部産婦人科学系産婦人科学分野
川名 敬
日本性感染症学会第39回学術大会を2026年11月14日(土曜日)、15日(日曜日)に、学術総合センター/一橋講堂(東京都千代田区一ツ橋)で開催させて頂くことになりました。初めて学術大会を担当した産婦人科医は、私の父である川名 尚(当時、東京大)でございます。父が第3回学術大会(1990年)を担当させていただいております。その後、父は2000~2002年に本会理事長を務めております。36年の年月を経て親子二代で学術大会長を担当させていただくことを父共々大変光栄に存じております。
私自身は、まだ医者を志す前から父から数多くの性感染症に関する知識をたたきこまれ、性感染症とともに育ってきたといっても過言ではありません。それが影響したのか同じ産婦人科医、同じサブスペシャリティを歩むこととなりました。そうしたバックグラウンドを生かした学術集会にできればと思っています。
今回の学術大会テーマは「性感染症の未来~人跡未踏の世界へ」としました。これまで先人が培ってきた性感染症における医学研究と診療は、地道な研究と経験で多くの世界を切り開いてきました。一定の性感染症診療をガイドラインという形で体系的にまとめあげてくださいました。しかし、我々はこれで満足してはいけません。未来を見据えた場合、まだまだ人跡未踏の地があるのです。21世紀は予防医学の時代と言われています。ワクチンがその最たるツールとなるでしょう。また個別化医療やゲノム医療の時代でもあります。AIによる診療や遠隔診療も目の前に迫っています。性感染症の世界もそのような世界に一歩を踏み出す時です。
超高齢者社会の中、がん、生活習慣病、認知症と言った高齢者の疾患に多くのリソースが投入されていますが、その世代を支える思春期、壮年期世代の健康にとって性感染症は脅威となっています。またSNSやインターネット社会による性活動の多様化によって感染症の疫学も変貌しています。この困難をブレイクスルーするためにも英知を結集する時です。
本学術大会では、そのような現代社会における性感染症の課題と未来を皆様と語り合いたいと考えております。医学会や社会から性感染症の重要性や斬新さを再認識してもらえるような成果を本学術大会から発信してまいりたいと思っております。ぜひ多くのご研究成果やリアルワールドの現状をご紹介いただき、皆様と熱いディスカッションで盛り上がっていきたいと思います。実りある学術大会になるように尽力してまいりますので、奮ってご参加いただき、ともに性感染症の未来に踏み込んでいきましょう。なにとぞお願い申し上げます。
