昨年の第12回有床総合病院精神科フォーラムは千葉県鴨川市の亀田総合病院において盛況に開催されました。今年は、大河ドラマシリーズ天地人の舞台となった山形県米沢市において第13回フォーラム開催を実施させていただきます。
前回は「医療の高度化と総合病院精神科の未来」というテーマで「精神科救急」と「身体合併症治療」という活動に加え、一層重要さが増した総合病院の他診療科との連携及びさらなる新しい体制の構築の必要性を明確にされました。
ところで、昨今の我が国では、総合病院勤務医の不足や疲弊を伴う医療崩壊が大きな懸念となっていることは周知の事実でありますが、東北地方の医師不足や地域偏在に関してはあまりにも厳しく瀕死の状態に喘いでいるといっても過言ではありません。医師や医療施設、精神科救急システムなどが充足されていない地方においては措置診察時の指定医確保や身体合併症患者への対応などは大都市圏と比べとりわけ大きな困難を強いられているのが現状です。
そこで、今回の米沢フォーラムでは、上述した東北地方の地域医療の現実を他精神科病院や診療所との連携を踏まえながら山形県内の精神科医療の現状と未来において地方でのあるべき姿を検討し模索する場を提供したいと考えております。人口9万人ほどの米沢市は山形県南部に位置し三市五町からなる人口23万人の置賜地方の中核都市であります。この医療圏には二つの中核病院があり米沢市立病院もその役割を担っています。医療経済的に圧倒的に不利な立場にある総合病院精神科がこのような地方でその役割と機能を失うことなくどのように発展させていけばいいのかという古くから続くテーマをもう一度見直すことができたらと思います。
米沢フォーラムの構成は、第一部「地方における精神科医療の現状と未来」ということで「山形県の精神医療の未来像」についてと「身体合併症はもとより急性期から慢性期まであらゆる患者層を抱えざるを得ない地方小都市の総合病院精神科の姿」について討論する予定です。第二部は「地方における精神科医療の地域連携」について、第三部はシンポジウム形式による「地方での精神科救急の現状と課題」について語っていただく予定としております。
また、米沢市は上杉氏による治政272年の城下町としての歴史を持ちます。米沢フォーラムとともに数々の史跡と伝統を持つこの町を楽しんでいただきたく思っております。
第13回有床総合病院精神科フォーラム実行委員長 伊藤 正尚