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生命科学4プラットフォーム 支援説明会・成果シンポジウム
パネルディスカッション議事録

日時:平成29年4月27日(木)
場所:一橋講堂
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議事録

(敬称略)

狩野方伸(先端バイオイメージング支援プラットフォーム研究支援代表者):
それでは本日の支援説明会および成果シンポジウムを踏まえまして、パネルディスカッションを始めたいと思います。私は司会を務めさせていただきます、バイオイメージングプラットフォームの代表の狩野と申します。よろしくお願いいたします。
それではまず、各プラットフォームの代表の先生方に、ここ1年支援活動をしていただきまして、現状報告と、あと問題点等ありましたら、2〜3分でお話しいただけたらと思います。それではコホートの今井先生からお願いいたします。

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今井浩三(コホート・生体試料支援プラットフォーム 研究支援代表者):
今井でございます。コホート・生体試料支援プラットフォームということで1年間やらせていただきました。28年度からでございますが、その前、がん支援というかたちで6年間続いておりました。そこから28年度で何が変わったかと申しますと、1つはがんは直接関係なくなって、生命科学全体になったという点です。もう1つ大きな違いは、28年度から脳のブレインバンクのことが入ってきたということです。そのほかにも小さな変化はありますが、大きなところはそういうところでございます。

1年間やってみて、やはり脳の組織をリソースとして提供させていただいている点は、普通のリソースとは違い、ヒトの脳を扱うということで非常にいろいろなレギュレーションというか、倫理面からもいろいろな問題が絡んでまいります。これは東京都健康長寿医療センターの村山先生が主としてなさっていて、大変なご苦労されています。日本中の脳バンクの組織を説明し、脳組織を頂き、いろいろなレギュレーションをきちんとなさった上で保存して、しかもそれを提供して、使っていただくということですので、相当な困難が伴いますし、大変な仕事だなというふうに私自身感じてまいりました。

しかしながら、今の日本もそうですが世界中の状況を見ますと、脳の研究というのは非常に重要な局面になっております。この支援をどのように上手に続けていくかということが問題になってくると思います。取りあえず基礎はできましたが、今後支援費用を拡大していく必要があると考えています。

狩野:ありがとうございます。次はゲノムの小原先生にお願いいたします。

小原雄治(先進ゲノム解析研究推進プラットフォーム 研究支援代表者):
先進ゲノム支援の代表をしています小原でございます。先ほど星野さんからもご発言がありましたが、ゲノムはかなり時間はかかります。しかし、ゲノムをやったことで先が開けると仰っていました。星野さんもゲノムを決めること自体が目的ではないわけですが、その先の展開は非常に大きいということが分かっていただいたと思います。

こういうふうに、ゲノムはありとあらゆるものが当然持っているので、ゲノム支援のころからそうでしたが、支援の対象は科研費の全分野に広がっています。そういう意味で分野横断的な支援です。一方で、これは全てを支援することはできないわけです。また、最初黒川さんからのご説明があったように、やっぱり最先端のところはぜひやりたい。基盤のところというのは、外注という手段もありますから、基盤の情報を解析するパイプラインはどんどん提供するとしても、全てはできない。その辺の仕分けは結構難しいと思っています。

もう一方で、1年間の活動報告をした際に、文科省の委員会からは、先端はいいんだけれども裾野も頑張れというふうに言われました。なかなかつらいところがあります。ゲノムの場合は今かなり民間の外注が進んでおります。ただお金がかかりますから、それも苦しいと
ころですが、その情報解析でお世話をしたい。先端の部分、長く読むとか完ぺきに読むとか、1細胞でやるとか、そういう難しいところはぜひ一緒にチャレンジしたいということが本音です。しかし、ここもバランスを持ってやらないといけないという。しかも支援のお金というのも限られております。結構いただいておりますけれども、支援を希望する方はたくさんいます。解析コストが下がっても、解析の点数を増やしていく方もいる。1細胞解析なんて言い出したら、もう無限にありますよね。これを全部シークエンスしないといけないとなったら、これはまた掛け算で来ますから大変なことになってしまいます。そこら辺をどうやって、本当に大事な課題を支援するのか、これは審査委員会でも侃々諤々の議論になっています。その辺がつらいというか、チャレンジしていかないといけないことかなと、これが1年間やった総括でございます。

狩野:ありがとうございます。今ご指摘のあった、最先端をどんどん上げなきゃいけないという一方で、裾野を広げなきゃいけないということはかなり重要で、根源的な問題だと思いますので、また時間がありましたら後ほど議論したいと思います。それではイメージングプラットフォームの上野先生、お願いいたします。

上野直人(先端バイオイメージング支援プラットフォーム):
私はイメージングプラットフォームの中の画像解析を担当しています。代表が座長をしているということで、私のほうから代わりにお話ししたいと思います。
今日も冒頭にご紹介がありましたけれども、がん、ゲノム、脳というのは、すでにその支援事業というのは存在していたわけですけれども、このバイオイメージングだけは昨年支援プラットフォームに加わって、生命科学4プラットフォームになりました。ですから私たちにとっては初めてのことばかりで、試行錯誤でこのプラットフォームを作ってきました。
幸い応募のほうは二百三十数件ございました。そのうち採択したものが百八十数件、採択率は高いところでは90%から、最も低い画像解析は60%です。平均すると80%弱ぐらいの採択で行っております。画像解析の場合は内容を見てみますと、申請の中には、これは市販の画像解析ツールで解決できる問題だろうというようなものもかなりありましたので、そういった問題は、例えばイメージングのプラグインを使ってくださいようなのをこちらから連絡をして、採択としたものもございます。
ですからこういった、ある程度採択率が低い項目もございますけれども、いずれにしましても審査の際のルール等を外に見えるようなかたちでオープンに示していく。こういうケースが採択になりますといった例を、あらかじめホームページ等でお知らせしておくのがよいと思っております。
これは科研費取得者のための支援なので、基本的に皆さんの研究打ち合わせ等の旅費は、皆さんの研究費の中から出していただくということになっています。しかし、一方で若手研究者あるいは少額研究者を手厚くサポートするというようなことも重要なことでございます。
少額科研費ですと、最終年度は本当にわずかな研究費という方もいらっしゃるので、そういう方には柔軟に対応してなるべく手厚い支援ができるように、旅費等とかトレーニングへの参加とか、若手には柔軟に考えていきたいと思っています。

あと考えられる問題としては、こういった活動を長期的に維持しようと思うと、特にバイオイメージングですと、次世代シークエンスも同様かと思いますが、機器の進歩は日進月歩です。また、顕微鏡ですとレーザーがかなり消耗します。ですからこういった支援事業というのは、そもそもそういう機器を購入するような予算というのはないわけですが、一方で私たちが将来こういったものを長期的に維持するための予算を確保しなければならないと考えております。以上です。

狩野:ありがとうございました。イメージングといいますと、支援者と被支援者が寄り添って、しかも長く関わることが多いと思うので、その中で185件採択というのは大変頑張っているのではないかと思います。またそのことに関しても、後ほどもし時間がありましたら議論したいと思います。それでは次に、先端モデル動物支援ラットフォームの井上先生、よろしくお願いいたします。

井上純一郎(先端モデル動物支援プラットフォーム):
先端モデル動物支援プラットフォームは、代表は今井先生がされております。ですので、私が代わりにご報告させていただきたいと思います。ご説明のときにもありましたように、これはモデル動物作製、主にマウス、ラットで遺伝子改変動物を作るというのが重要なサポートの一つです。それに加えてモデル動物を解析するサポートとして病理解析支援、それから生理機能支援があって、さらにそのマウスを多方面から解析するために、分子プロファイリングというステップで化合物を利用したり、あるいはトランスクリプトームを利用するということで、マウスを解析するための総合的な解析が全部揃っている、そういう支援活動です。

まさに今、モデル動物作製というのは革命期で、技術革新がものすごく速い時期に来ています。そういう意味では、この動物作製の支援班をされている先生方が非常に技術導入に積極的で、最先端の技術で動物作製をされているというところが、今年の実績にもあると思います。
もう1つ、このモデル動物支援の活動としては、中村先生もご説明されましたけれども、若手の育成として、若手の技術講習会および成果発表会を開催しました。単に成果を発表するだけでなくて、若手を育成するための交流ということを非常に大事にしています。そういう意味でも今回参加者も多く、今年度成功したと思います。
一方で、動物作製等においては申請の全部を採択できないといういろいろな制限があります。その辺は、これまでの先生方のお話もありましたが、裾野を広げるということがいろいろな点で難しい点もあり、後で少し私からお話したいと思いますが、利用料の課金制度も考えられています。そのようなことを利用して、動物作製においても裾野を広げていく、あるいは若手の研究者を支援するということが今後非常に大事になってくると思います。

来年度も、今の裾野を広げるために努力をしながら、先日ホームページに選考における基準等も公表しておりますので、そういう点からも支援者の選択方法、裾野を広げる方法についても、今年度きちっとやっていきたいというふうに考えております。以上です。

狩野:どうもありがとうございました。モデル動物のほうでは、若手支援者の育成に非常に力を入れていらっしゃると、先ほど中村先生のお話にありましたが、それも非常に重要な問題ですので、また、もしジェネラルディスカッションで触れられればと思います。あと課金の件に関しましては、後ほどまた井上先生にご報告いただきたいと思います。
それではひと通りプラットフォームの代表の先生方の現状報告が終わりましたので、これから、今日成果シンポジウムのほうでお話しいただいた先生方に、それぞれ2分程度でプラットフォームに望むこと、ご意見、ご要望等を伺えればと思います。ではまず、河野先生お願いいたします。

河野隆志(シンポジウム演者:コホート):
ありがとうございます。私のほうは、過去のがんの支援のときから結構いろんな支援を受けさせていただいていました。今日発表した、一番初めにRET融合遺伝子を特定したというときには、確か高橋隆先生に、愛知県がんセンターの症例でも陽性例がありますかというのを受けていただいたと記憶しています。その後、実は細胞株のターゲットシークエンスを時野先生(札幌医大)にやっていただきました。そして、今回生体試料の分野の支援もいただいたということで、いろいろな面で支援を受けている身です。いろいろな支援を選んでお願いできるようになっているのは、非常にいいと思います。今回イメージングとか、われわれのところではあまり縁がないかもしれないですけれど、選択肢が広いというのはすごく良いと思います。
一つの要望は、もちろん大変だとは思いますが、時期が例えば年に1回とかだと、途中で気づいたときに、もう募集が終わっているというのがあると思います。本当は年に募集が何回かあると、ありがたいと思います。

狩野:ありがとうございます。最後のところは募集が年1回という、そういうことでしょうか。

河野:そうですね。例えば今回ゲノム支援とかも5月から6月に募集ということなので、多分ここを逃すと、次は来年の5月、6月ということになるわけですね。

狩野:プラットフォームによっては年複数回募集ということが、もうすでに行われていると思います。

小原:ゲノムも次回からは多分2回できると思います。でも、随時というわけにはいかないです。

狩野:分かりました。よろしいでしょうか、代表の先生方。どうもありがとうございます。そうしましたら、次に木村先生お願いいたします。

木村暁(シンポジウム演者:イメージング):
私はバイオイメージングの支援を受けている者です。バイオイメージング支援自体の歴史が多分浅いので、一番新参の支援者に近い立場だと思います。まず一つ、相談窓口がとにかくあるというのは、すごくありがたい。本当に最終的に技術提供を受けるかどうかとか、何かしらのお金の支援を受けるかということ以前に助かります。やっぱり何か新しい手法とか新しい分野に行くときに、そもそも誰に相談していいか分からないので、こういう支援チームというのがあって、窓口があるのは重要です。
またバイオイメージングに関しては、今日は画像解析の支援のお話をしましたが、顕微鏡技術の進展というのはすごく速い。市販になるのを待っていたのでは、そもそもお金がなくて買えないという問題もあるんですけれども、技術的にはもう遅いです。やはり顕微鏡開発を実際にやられている方とお近づきになるというのは、すごく大事なことだと思います。やはりバイオイメージング支援みたいなものは、永続的に続けていただければと思います。
要望というか、すでに行われていることですけれども、やはり支援とはいえ、結局は人と人とのつながりだと思いますので、人と人とがどう出会うかというのがすごく大事なので、オンラインで簡単に申し込めるのも大事だと思いますが、いろんな人がつながれるようなイベントを、すでにありますけれども、もっとやっていただけると、新規参入が容易になるのではないかと思います。以上です。

狩野:ありがとうございます。木村先生と内田先生の場合は非常に成功した例と言えると思います。
その辺、どういうきっかけで共同研究といいますか、始まったか、その辺をお話しいただければと思いますが。内田先生、いかがでしょうか。

内田誠一(シンポジウム演者:イメージング):
どういうきっかけでしたっけ。学会で知り合って、立ち話から始まって、面白いですねっていう感じで、一方的に僕がラブコールというか、何かやらせてくださいと言ったのが始まりだったような気がします。これ本当にハッピーで、続いている大きな理由は、僕が非常にエンジョイしているというのもありますけれども、学生が非常に面白がるというのが、すごく大きなモティブフォースになっていて、それでずっと続けさせていただいています。結局プログラムを組んでいるのは、うちの学生さんです。彼らにとって、私は情報系でバイオはほとんどしない。私の研究室としては全然ウェットではないです。さっき木村先生は律儀に、うちの学生3名の名前を挙げてくださったのですが、実際もう3〜4年間ぐらい代替わり、代替わりで、ずっと木村先生とコラボレーションさせていただいていて、ずっと面白いと思って続けさせてもらっているというところが大きいです。
学生が学生を呼んで、僕は九州ですけれども、九州のいろんなところの別の大学とか高専から、バイオコラボをやりたいという学生がだんだん増えてきていて、いい傾向だなと思っております。こういう輪が広がったらいいなと思っています。
実はついこの間、完全に医学系の学生さんが1カ月、2カ月ぐらい殴り込みに来て、うちに寝泊まりして、プログラミングの習得をしていきました。そういう、ドライというか、プログラミング画像処理もやりたいという学生さんをどんどん支援できるようになると、きっといいのかなと思っています。ご支援本当にありがとうございます。ご支援というか、この制度、すごいハッピーです。

狩野:支援に関しては何かありますでしょうか。

内田:唯一本当に小さいことですが、これは、うちの学生がコラボさせていただいた成果を発表するには使えないですよね。あくまで支援事業なので、支援にはもう思う存分使わせていただいているけれども、その学生がコラボで、例えば木村先生のソフトを作るときに新しいテクニカルなネタがあったら、その画像系でも発表したいのですが、そこには使えないのでしょうか。

狩野:では今井先生。

今井:それは、一般的にはあらかじめお話して、決めておかれればよろしいかと思いますし、自由に上手に活用していただければと思います。

内田:そうですか。じゃ、ありがとうございます。

今井:大いに発展していただくというのが支援の真髄ですので、よろしくお願いします。

内田:では宣伝させていただきます。ありがとうございます。

狩野:どうもありがとうございます。それでは岡村先生、よろしくお願いいたします。

岡村均(シンポジウム演者:動物):
私はマウスの、ノックアウトマウスおよび、そういう遺伝子改変マウスを扱っています。1つの一番大きな問題は、やっぱり重要な結果を出すのは何年もかかることです。パブリッシュまでのクオリティーに行くと、私の場合は大体平均6年以上かかっています。現状ではなんとかサイレントにさせてしていますが、時代の流れからして、なかなか難しいと思います。私は新潟の崎村先生にずっとご厄介になっていますが、狙うのが大きいほど、時間がかかってしまう。これはなんとかしたいです。特に僕が今日強調していたような、概念を変えるとか、全く違うところとするということになると、ものすごく時間がかかります。応用的なものならば、割と動物でも早くなりましたし、それも分かります。しかし、全く新しいとなると、途端に時間がかかる。その努力をご評価いただいて、なんとかご支援していただいていると思いますが、やっている当事者としては、そこが非常に気になります。

狩野:どうもありがとうございます。今井先生どうぞ。

今井:先生の素晴らしいお話を今日伺って、きっとすごく長い時間かかるのだろうなと推測はしていましたが、6年とは思わなかったです。やっぱりそのぐらいかかるのですよね。

岡村:はい。長いものでは10年ぐらいかかっているものもあります。

今井:われわれのプラットフォームや協議会を審査する、審査会というのがあり、やはりお互いのインセンティブが高まるような仕掛けを作ってくださいという意見がでています。支援する側とされる側、両方です。そういう格好で進めるようにという注文があります。それを具体的にどういうふうにするかというのがまだこれからです。希望としては、やはり素晴らしい仕事を世界に先駆けて提出できるというのが、支援する側のほうもうれしいし、研究者ももちろんうれしいことだと思いますので、そういう方向に向かっていきたいです。あとは具体的にどういうふうにやるか、それから共著になるか、アクノリッジだけにするかという問題とか、研究費(支援費用)をどちらが出すかとか、そういう問題があります。基本的には、よい成果を求めて、そういう長い研究も続けていくべきだというのが、審査会の意見でもあろうかと思っておりますのでよろしくお願いします。

狩野:どうもありがとうございます。岡村先生、大変重要な問題提起をいただきましてありがとうございます。支援する側のモチベーションというかインセンティブを、どう高めて保つかというのは非常に重要な問題でして、それも時間はとても足りないですけれども、常に考えていかなきゃいけないことだと思っております。それでは次に、星野先生お願いいたします。

星野敦(シンポジウム演者:ゲノム):
僕も本当にゲノム支援の先生方にお世話になりっぱなしで、特にここで持ち上げてもしょうがないし、あまり悪いこともないですけれど。何度か出ています、人と人との関係ということでちょっとお話しさせていただくと、やっぱり最初は、どこまで先生方に依頼していいのかというのも分かりかねて、その距離感というのが分かりかねていました。ちょっと最初は戸惑うというか、気を使う。メール1本書くのも何かすごく時間がかかるというのがありました。だんだん時間がたってきて気心が知れてくると、その辺のスピードも上がってまいりました。ゲノム支援の、さっきの6年間の報告書の最後にアンケートがあって、それを読み返してみますと、やっぱり人と人との距離感で戸惑って、困っておられた被支援者の方というのもおられたようですので。そこはパーソナリティーにもよるとは思いますが、うまくやっていただきたいなと思います。
僕の場合は非常にうまく行ったケースだと思っていますし、研究成果以上に、この人のつながりができたというのは大きな収穫でした。残念ながら採択いただかなかったですけれども、別プロジェクトで一緒に科研費の申請書を出したり、そういう新しいことにつながっていますので感謝しています。

狩野:どうもありがとうございます。パネリストの先生方からお話しいただきましたが、全般的なこととして、まず小原先生にご指摘いただいた、最先端を高めながら、かつ裾野も広げるという、それは非常に各プラットフォーム共通の目標であり問題だと思います。それから支援するほうの、次世代の若手をどう育てるかということです。それともちろん関連しますが、支援するほうのインセンティブというかモチベーションをどのように保つかが、支援の枠組みが継続するために必ず必要なことだと思います。それと課金の件に関しては、後で改めて井上先生からご報告いただきます。そういうことに関しまして、今挙げた3つの点に関しまして、もしフロアのほうからご意見のある先生がいらっしゃいましたら、ぜひご意見を伺いたいと思いますが、いかがでしょうか。
どなたかいらっしゃいますでしょうか。三品先生、いかがですか。包括脳支援からの。

三品:ご指名ですので。非常に難しい課題だというふうには思いますけれども、先端的な研
究を支援するというのは、本当に求められている課題だと思います。それはどのプラットフォームもかなり強く意識されていると思うので、そこは問題ないと思います。そのうえで、一般の広く支援を待っておられる研究者、それから若手育成、それをどう両立させていくかというのは簡単なことではないと思います。それから支援者も予算も限られている中でどうやっていくか。それはおそらく支援の内容によって、かなり先端研究にシフトせざるを得ないような支援もあると思います。それからもう一つ、ある支援によっては広く受けられるというのもあって、全体としてはそこでバランスを取っていただくのがいいのではないかというふうに思います。つまり、かなり広く支援できるような内容と、かなり絞り込んでやらざるを得ないような支援です。だからそういう意味では、各プラットフォームである種の選択をされることは、各プラットフォームの見識でやっていただくということはぜひ必要だと思います。
もう一つ私がさっき思ったのは、以前よりずっと広がりましたよね。がん、ゲノム、脳でやったときは、ある程度大きな集会を伴っていたので、おそらく支援される方と受けられる方の垣根は比較的低かったと思います。今度は一般に広がったときに、先ほど星野先生がおっしゃった、どうしても最後は人と人との関係になります。そうすると初めての方は少し取っ付きにくいなと。垣根があると、その敷居を下げるような工夫をしたい。だから多分オンラインで申し込むというのと少し違う、本当の意味でのいい支援体制というのは、やはり人間関係にあると思われますので、その敷居を下げていただけるような工夫について、お聞きしたいと思います。

小原:星野さんがおっしゃったように、ゲノム支援の場合も最初はやっぱり1つではできなかったことが結構ありました。というのは、集約化はしておりますから、いくつかたくさんの拠点はありますけれど、メインは2つで、あと若干小さいところが2つあります。そこでもうほとんどやっていますので、1カ所でかなりの件数を担当しています。そういう場合は当然やり取りをするわけですけれども、なかなか、ガンガン言って来る被支援者の方は対応するけれども、遠慮されている方はそうしないとか、そういったことがあったと思います。だから今は間に事務局がかなり入って、その間を取り持つとかということをやってまいりました。だから必ず事務局が聞いて、それで対応していなかったら、どうなっていますかと聞くこともしています。
あとはコミュニティーも作らないといけない。ゲノム支援では、支援をされた方と支援する側、支援された方の特に若い方を招いて拡大班会議をやるということ、それをやって輪を広げていって、なるべく垣根を下げるというようなことをやってきました。ただ、いったん切れたので、今回の先進ゲノム支援は一からですから、前の方をお呼びするわけにはちょっと行かないので、また一から始めます。そういうかたちのことをやって進めていって、決してオンラインだけじゃなくて間に人が入ってやろうという、そんなことを考えております。

今井:垣根を下げることになるかどうかは不明ですけれども、生命科学連携推進協議会として行っているのは、コーディネーターと呼ばれる職を作って活動を開始しました。現在2名おります。その人を介していろいろな広報活動、あるいはいろんな研究代表者にお会いして、こういうことをやっていますというようなことをお伝えする作業を始めました。

また、皆さまの袋の中に入っていると思いますが、パンフレットを作りまして、そこに支援内容と、それから支援者のお名前の入ったもの、これ全部個人情報ですので、全部許可を得てそれを出しております。そういうようなかたちで、非常に微々たることしかできないですが、そういうことをやって、少しでも早く知っていただいて、垣根そんなに高くないですよということをアピールしているつもりですが。なかなかこういう会も、今日は二百数十名の登録がありましたが、学会その他でなかなかたくさんの方は来られない、あるいは地方の方は来づらいということもありまして、何かいい方法があれば、ぜひ皆さまから教えていただきたいと思っております。

狩野:バイオイメージングのほうも、取り組みについてご紹介させていただきたいですけれども。今年ABiSシンポジウムというのを行いまして、これは支援者、被支援者だけではなくて、関連する新学術領域の方をお呼びして合同のシンポジウムを行いました。今度東大で5月に行いますのは説明会でもあり、相談会を兼ねております。近隣の方が、まだ正式に応募するかどうか迷っておられるような方も含めて、気軽に支援者と面談して相談していただけるような機会を設けることになっております。
あと、昨年この会議でご意見がフロアからありましたが、新学術領域に出向いてトレーニングコースをやっていただけないかというご要望もありました。新学術領域に出向いてということではないですけれども、画像解析のほうでは、今年、まずいろんな地方に出向いて行って、小さなものでもいいのでトレーニングコースをやることになっています。今年度はまず北大で第1回目をやるということになりました。全国レベルのものと、そういうローカルなものと組み合わせていきたいなというふうに考えております。

井上:モデル動物支援のほうは、先ほどもご説明しましたけれども、若手支援技術講習会とそれから成果発表会というのを開催しています。これは私の研究室の学生あるいは助教も参加しています。これはいろいろな先生の顔を覚えたり、フェイス・トゥ・フェイスで話すにはすごくいい機会です。そういう意味ではコミュニティーというのは、学問的に共通のコミュニティーもありますけれども、科学者としてその人を知っているという機会を得るのは、すごくいい機会だと私は思っています。これはモデル動物支援ではずっと続けていくつもりでおりますので、これは若手にとってすごくいい機会なのかなと思ってはいます。

狩野:どうもありがとうございます。皆さん今日のパンフレットの最後から2ページ目に、今後の予定というところに、今後いろんなプラットフォームが講習会、説明会等を開くという予定が載っております。先生方もぜひ機会があればこういうところに足を運んでいただいて、実際に人と会って、その垣根を低くするような方向に持って行っていただけたらと考える次第です。
すいません、あと重要なことが残っていました。このプラットフォームとして非常に重要な問題は、支援した場合に課金をするかどうかです。文科省は、むしろ受益者負担である程度の課金をしろということを指導してきておりますので、それに対してどのように対応するかということを、最後に井上先生からお話しいただけますでしょうか。

井上:課金というのは、被支援者が支援を受ける場合に利用料を払うというシステムのことです。
目的はなるべく支援の件数を増やす、あるいは若手の人の支援をするときには積極的に支援できるようにという、そういう経費に使えるようにということで、利用料を設けるということを文科省の方からも明確に推奨されています。また、この支援システムをずっと続けるためには必要なのかなとも思っています。ただし、利用料を取るということで申請が減ったりするようなことがないように、なるべく利用者の方の負担にならないような利用料設定をするということを、現在検討しています。
現段階としては、4つのプラットフォームがあります。その4つのプラットフォームで共通のポリシーの下に利用料を設定していきたいので、その共通のポリシーを現在作成している途中です。先ほどのご説明のときにありましたように、支援が非常に多様で、いろいろな支援があるので、一律の利用料設定というのはなかなか難しい。そこでそのプラットフォームごとに事情に則した利用料を設定していただくという方針で動いています。その利用料はもちろん実費よりはだいぶ低い設定になると思いますが、それで利用していただく。そういう利用料を支援にまた還元して、支援件数を増やす、あるいは若手の支援を充実させる、そういう方向で、システムを作ろうというところであります。一応予定としては、早ければ今年度の後半ぐらいに実施するかどうかというところを今検討している段階です。以上です。

狩野:どうもありがとうございます。いろいろプラットフォームによって事情が違いまして、例えばバイオイメージングなんかだと、もともと生理研と基生研で大学共同利用機関ですので、基本的に課金ということはしていないということです。今後各プラットフォーム、それから支援対象も考えましてお考えいただいて、何らかの制度を作っていきたいというふうに考えております。

井上:先ほど岡村先生のほうからお話がありましたが、いい結果を出すためには、すごい長い時間がかかるということです。利用料というのを設定することによって、そういう長い時間がかかる良い研究の妨げにならないように、システムをきちっと工夫していきたいと思っております。その辺はご安心くださいと私が言っていいのか分からないですけれども、そのように考えております。

狩野:どうもありがとうございます。そうしましたら予定の時間に来ましたので、最後にフロアから何かご意見ありますでしょうか。そういたしましたら、本日はどうもお忙しいところをお集まりいただきまして、ありがとうございました。パネリストの先生方、どうもありがとうございます。これをもちまして、第2回の生命科学4プラットフォーム説明会・成果シンポジウムを終わります。どうもお疲れ様さまでした。ありがとうございました。

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