2024 Oct 07
現在の感染症サーベイランスは、法令で規定された病原体が確定されるか、抗体や病理で確認されたものとなっております。
しかし、今般のCOVID-19のように、未知の病原体の場合、サーベイランスを行うために、病原体の確定と診断方法が整備されるまで、探知が困難となります。
また、病原体として既知であっても、法令で規定していない疾患が流行した場合も、覚知と初動が遅れる可能性があります。
これに対応する、一つの手法が、「症状サーベイランス」となります。
パブリックコメントのPDF(意見募集は終了)
この秋冬のインフルエンザ流行期に向けて、
来春、令和7年4月に向けて、(第90回感染症部会 R6.10/6)
国は「ARI(acute respiratory infection [or illness] : 急性呼吸器感染症)」を、5類感染症の定点をお願いしている先生方にご報告頂くことになりました。
ARIの定義ですが、「急性呼吸器感染症の症例定義(案)医師が感染症を疑い、直近1週間以内に咳嗽、咽頭痛、呼吸困難、鼻汁・鼻閉のどれか1つを発症した 外来患者」として班研究が行われましたが、85回86回と89回の感染症部会の審議を経て、「 急性呼吸器感染症(インフルエンザ(鳥インフルエンザ及び新型インフルエンザ等感染症を除く。)、オウム病及びレジオネラ症、RSウイルス感染症、咽頭結膜熱、A群溶血性レンサ球菌咽頭炎、クラミジア肺炎(オウム病を除く。)、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)、百日咳、ヘルパンギーナ及びマイコプラズマ肺炎を除く。)」となりました(図1)。発熱の有無は問いません。
今までの、報告様式から、内科定点と小児科定点の報告様式が一体化されます(図2)。
私製エクセル別記様式6-2
抗原検査キットや核酸増幅法、培養同定など検査を経ず、病原体の特定が問診や診察で難しい場合は、急性上気道炎・下気道炎・咽喉頭炎などを、合わせてARIとして数えていただき、様式に記入の上ご報告頂く形になります。
家庭内感染や学級閉鎖などで、検査しなくても病原体を推定できる場合は、季節性インフルエンザや新型コロナウイルス感染症として、重複せず、個別に計上してご報告頂きたいと存じます。
ご報告頂くのは、定点のお願いをしている医療機関のみです。
お願いしていない医療機関は、感染症週報の書きぶりが、変わることをご承知おき下されば、有り難いと存じます。
SARI(severe acute respiratory infections:重症呼吸器感染症)をサーベイランスする、REBIND(REpository of Data and Biospecimen of INfectious Disease : 新興・再興感染症データバンク事業)の事業と両輪となって、感染症対策を行う予定になっております。
スケジュールは図3のようになる予定です。
【表1】
令和6年9月末~10月(予定):自治体説明会
令和6年10月28日(第44週):感染症法に基づく急性呼吸器感染症(ARI)サーベイランスを開始
令和7年2月21日:急性呼吸器感染症(ARI)定点及び病原体の指定状況を県から国に報告
令和7年4月 : ARI定点開始