Acute Respiratory infection [ or illness ]

2025 Feb 07

現在の感染症サーベイランスは、法令で規定された病原体が確定されるか、抗体や病理で確認されたものとなっております。
しかし、今般のCOVID-19のように、未知の病原体の場合、サーベイランスを行うために、病原体の確定と診断方法が整備されるまで、探知が困難となります。
また、病原体として既知であっても、法令で規定していない疾患が流行した場合も、覚知と初動が遅れる可能性があります。
これに対応する、一つの手法が、「症状サーベイランス」となります。
85回86回と89回の感染症部会の審議
パブリックコメントのPDF(意見募集は終了)

この秋冬のインフルエンザ流行期に向けて、
来春、令和7年4月に向けて、(第90回感染症部会 R6.10/6)
国は「ARI(acute respiratory infection [or illness] : 急性呼吸器感染症)」を、5類感染症の定点をお願いしている先生方にご報告頂くことになりました。
※症例定義:咳嗽、咽頭痛、呼吸困難、鼻汁、鼻閉のいずれか 1 つ以上の症状を呈し、発症から 10 日以内の急性的な症状であり、かつ医師が感染症を疑う外来症例
発熱の有無は問いません。

今までの内科定点の報告

今までの内科定点の報告

今までの、内科定点と小児科定点の報告様式を継続して提出願います。
紺の五角形が季節性インフルエンザ、橙の三角形がCOVID-19と見立てます。

令和7年4月からの報告

令和7年4月からの内科定点の報告

緑の四角が、今度導入されるARIに相当します。

ARI サーベイランスで報告された患者の一部は、インフルエンザ、COVID-19、RS ウイルス感染症等の患者としても報告される場合もあり、結果的に、同一の患者をそれぞれの報告様式で報告することがありますが、誤りではなく、目的に沿った正しい報告であり、国内の発生動向を把握するために適切な報告方法です。
このため、インフルエンザや COVID-19 等と診断された数を、遡って ARI サーベイランスで報告した数から差し引く必要はありません。 [ARI 厚労省Q&A 3-3 令和7年2月4日 別添3]

ARIの報告を上乗せして報告していただきます。

インフルエンザ流行中のARIのイメージ

インフルエンザ流行中のARIのイメージ

紺の五角形のインフルエンザが流行すると、Flu/ARI↑↑となります。

新興再興感染症が流行した場合

ARIサーベイランスで新興再興感染症が流行した場合

紫点線雲形の新興再興感染症が流行した場合、Flu/ARI↓、covid19/ARI↓となります。
A群溶血性連鎖球菌による扁桃炎などが流行した場合は小児科定点の報告で推察します。
また、サーベイランスしていないヒトメタニューモウイルスやパラインフルエンザは病原体定点からの検出で覚知します。
判ら無い場合、新興再興感染症が流行と判断します。

ご報告頂くのは、定点のお願いをしている医療機関のみです。
お願いしていない医療機関は、感染症週報の書きぶりが、変わることをご承知おき下されば、有り難いと存じます。

SARI(severe acute respiratory infections:重症呼吸器感染症)をサーベイランスする、REBIND(REpository of Data and Biospecimen of INfectious Disease : 新興・再興感染症データバンク事業)の事業と両輪となって、感染症対策を行う予定になっております。

【表1】
令和6年9月末~10月(予定):自治体説明会
令和6年10月28日(第44週):感染症法に基づく急性呼吸器感染症(ARI)サーベイランスを開始
令和7年2月21日:急性呼吸器感染症(ARI)定点及び病原体の指定状況を県から国に報告
令和7年4月 : ARI定点開始

ARI定点の導入スケジュール
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