日本医科大学大学院医学研究科 衛生学公衆衛生学分野 公式ホームページ





1)職域・地域における生活習慣病・心血管疾患予防に関する研究(大塚、加藤、川田)

 地域住民および職域労働者を対象として、高血圧、脂質代謝異常や耐糖能障害など生活習慣病調査を実施し、これら生活習慣病の発症・増悪に関与する背景因子についての検討を行っています。 一方、地域や職域集団における心血管疾患発症高リスク者を効率的に識別しうる様々な生化学的および生理学的指標を探索しています。 さらに、生活習慣病改善および心血管リスク低減のためのより効果的な保健指導方法についての研究も行っています。

研究成果の紹介
・ 正常耐糖能者における頸動脈初期動脈硬化
・ 喫煙と心臓ストレス
・ 自覚的健康度評価の意義
・ メタボリックシンドロームの発症率およびその発症に影響を及ぼす生活習慣因子


2)環境要因の呼吸器疾患の発症・増悪への影響,および化学予防に関する研究(李)

 環境要因の呼吸器疾患の発症・増悪リスクとしての寄与の程度、および分子機構に基づいた予防対策に関する検討を行っています。特にディーゼル排気粒子(DEP)によるアレルギー性気管支喘息、 肺線維症病態へ及ぼす影響について動物実験レベルでの検討、および気道上皮細胞を用いた検討を行っています。また、抗菌作用を持たないマクロライドの新規誘導体の化学予防対策に寄与できる 可能性について研究を行っています。

研究成果の紹介
・ ディーゼル排ガス曝露がブレオマイシン肺線維症病態へ及ぼす影響
・ ディーゼル排気粒子曝露がアレルギー性気管支喘息へ及ぼす影響


3)グランザイム3の健康指標としての応用可能性の検討(稲垣、平田(幸))

 グランザイム3は、ヒト末梢血リンパ球に存在し、細胞性免疫における殺細胞機能に関与すると考えられているプロテアーゼです。本酵素は、殺細胞作用の強弱によってリンパ球内に産生され、 あるいは血液中に漏出してくると考えられています。我々は、グランザイム3の基礎的な性状から、個々人の細胞性免疫機能の強弱との関係、病態における本酵素の関与について研究を行っています。 さらに、新しい健康指標の一つとして応用する可能性について検討しています。

研究成果の紹介
・ グランザイム3のカテプシンCによる活性化


4)慢性の関節痛に対するセルフマネジメント支援に役立つ地域疫学研究(陣内)

  腰痛やひざ痛などの関節の痛みは、私たち日本人のおよそ3割がもつ、いわば国民病ともいうべき痛みです。中でも、3ヵ月以上続く痛みは、慢性痛と呼ばれ、持続・再発を繰り返し、ときに腰痛とひざ痛の合併に至ります。40・50歳代以降では、仕事や生活で差し支えのでる方も少なくありません。  
  関節の痛みが長く続くと、曲げる・伸ばすといった関節の機能や姿勢を保つためのバランス機能を妨げます。また、痛みに対する不安や恐怖心から、周囲から気づかれるほどに生活のハリやその人らしさが失われることさえあります。このように、長引く腰痛・ひざ痛は、私たちの日常の生活で次第にその存在感を増していくことがあります。  
  私たちの研究チームでは、このような人を困らせる慢性の関節痛に対し、自らの力で対応する能力(セルフマネジメント)を無理なく身につける方法を提供するため、日々研究活動を続けています。エビデンスに基づいた助言や柔軟な個別化指導ができるよう、疫学という研究手法を積極的に活用しています。  
  この研究は、CIRCS研究の参加地域や関係機関をはじめ、住民の皆様や自治体スタッフの理解や協力があって進められています。地域に密着した疫学研究を通して学ぶことは多く、他分野との共同研究やフィールド活動を通して今後も研究を発展させていきたいと思っています。関心のある方はご連絡ください。
  
研究成果の紹介
・ 慢性腰痛改善のためのブリーフセルフエクササイズ教育(外部リンク)
・ セルフマネジメント支援と慢性ひざ痛の運動療法(外部リンク)
・ 慢性腰痛と運動療法(外部リンク)
・ 身体活動介入における早期OAの診断の意義(外部リンク)


5)T細胞、NK細胞の性質の変化と健康状態に関する研究(伊藤)

  2000年初頭から登場した、白血病細胞が発現する細胞表面抗原を標的とした、キメラ抗原受容体(CAR) T治療は、B細胞白血病の治療で高い治療効果を示しています。これまで、急性骨髄性白血病 (AML) の駆逐を目的としたCAR-T細胞治療開発を行ってきました。T細胞やNK細胞は、がん細胞や体の様々な組織から影響を受けて、生存、増殖、攻撃、疲弊などのイベントを変化させることにより戦略的に腫瘍を攻撃します。一方で、それらの機能が暴走し、機能不全になることもあります。私たちは、CAR-T細胞や、腫瘍ペプチドを認識するT細胞受容体を発現させた抗腫瘍T細胞を作製し、その性質と機能の解析を行っています。一緒に研究する学部学生・大学院生さんを広く募集しています。ここに紹介した以外にも、転写因子と腫瘍の関連など、様々な研究を行っております。免疫学・分子生物学・遺伝子工学・腫瘍学に興味のある方、気になることなどありましたら、お気軽にご連絡ください。 ari-itoh@nms.ac.jp

研究成果の紹介
・ ケモカイン受容体CXCR4を発現させたCD25を標的としたCAR-T細胞はPDX (Patient-Derived Xenograft) マウスのAMLを効果的に駆逐する(外部リンク)


6)リハビリテーション思考に基づいた予防活動:元気な高齢者が増えていく地域づくり(陣内)

人生100年時代の健康づくりとして、自治体や企業などとセルフマネジメント支援に着目したプログラムの実装プロジェクトに複数関わっています。  理学療法士、作業療法士、言語聴覚士などのリハビリテーション専門職は、公衆衛生の研究と実践、中でも地域で予防に関わっている者はわずかであり、これには現行の社会保障制度が大きく影響しています。 しかし、リハビリテーションで用いる知見や技術は、生活や仕事のしやすさに役立つ知見や技術ばかりで、「元気な高齢者が増えていく地域づくり」に大いに貢献できると思っています。 身近なところから機能回復に取り組める仕組みは、疾病予防の重要性もさることながら、多様な元気にあふれるワクワクした社会の達成に有力な選択肢のひとつになると信じています。 このような地域や医療現場でのモデル事業づくりとその実装活動に関心のある方はご連絡ください。   

活動成果の紹介
・ 山武市との介護予防に関する共同事業「転倒骨折予防プロジェクト」(外部リンク)
・ 山武市シルバー人材センターとの高齢者雇用促進に関する共同事業「健康になる就労プロジェクト」(外部リンク)
・東急株式会社と日本医科大学武蔵小杉病院の健康経営に関する共同事業
・日本医科大学武蔵小杉病院整形外科との変形性膝関節症外来に関する共同事業