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私家版スウェーデン留学ガイド

準備編


 

1.何を目的に留学するか?

 何を目的に留学するのか? 留学のことを考えるときに、目的意識の設定がもっとも大切だと思います。

 まず考えられるのは、日本では得られない技術・情報を取得するため、あるいはより良い仕事の環境を求めるため、ということが考えられます。

 つぎに人生経験として、外国で暮らしてみたい、ということも考えられます。

 また、一種の充電期間として将来の生き方をゆっくりと考えたい、ということも考えられます。

 私の場合、上記の3つともあてはまるというのが正直なところです(欲張りすぎかもしれませんが、、、、)。

 もちろん、実際に留学してみたら当初の予想と異なることも少なくないと思うのですが、それでも最初にどのような目的意識を持つかというのは、なによりも大切なことだと思います。とくに、どこに、どのような形で留学するかを決める際に、きちっとした目的意識を持つことは不可欠だと思います。

2. 留学先の探し方

 留学先の探し方には、さまざまな方法があると思われます。

 もっとも一般的なのは、だれかに紹介してもらう、というパターンです。おそらく医者の場合、だれかが以前に行っていたとか、教授同士が互いに親しい、といったケースが非常に多いのではないでしょうか。とくにだれかが以前に行っていたケースでは、先方の内部事情や現地の生活情報がよく分かるという点では非常にアドバンテージが大きいと思われますので、自分のやりたいことと、そこでできることが一致する場合、手堅い選択だと思われます。

 つぎに自力で探すという方法があります。私の場合は、そうでした。というのは、まず自分が研究したいテーマが先にあって、かつ、日本国内でそれを専門に研究できる場所が、さまざまな条件面の問題もあって、見つからなかったためです。この場合、自分のやりたいことができるという大きなアドバンテージがある半面、行ってみたら「こんなはずではなかった」ということが生じる危険があり、ハイリスク・ハイリターンな側面があると思います。

 自分で探す場合、自分が興味を持っている分野の学会で知り合う、自分が注目した論文の著者に手紙を出す、Natureなどの科学雑誌や研究所のホームページで求人情報を探す、といったかたちでまず手がかりをつけるところから始まります。私の場合、1997年にストックホルムで開催された国際小児内分泌学会で講演をしたカロリンスカの教授(Prof. Jan Carsted-Duke)に質問に行き、いろいろとお話をうかがったのが、今回の留学のきっかけとなりました。

 ここで問題となるのが、どのようにしてその留学先が本当によい留学先であるのかを見極めるのか、という点があると思います。私自身の個人的な経験から言えば、とにかく留学を正式決定する前に、いちどは留学先を訪問することが非常に重要だと思います。これは時間もお金もかかることですが、それだけの価値があることだと思います。

 この際にチェックすべき点を列記すると、以下のようなことが挙げられると思います。

・設備はととのっているか?

・研究資金は潤沢そうか?

・そこでやっていることと、自分のやりたいことと一致するのか?

・ボスはどんな人柄か?

・研究室の雰囲気はどうか?

・給料を出してもらえるのか?

・治安・物価などの生活環境はどうか?

 こういったことを知る上でとても重要なのは、「研究室の雰囲気を知りたいので、若手の大学院生やポスドクの話を聞く機会を設けて欲しい」、と希望することだと思います。これは行ってみたら予想とは違った、という事態を避ける上でとても大切だと思います。

 あと、この訪問の際に、受け入れ先のボスともいろいろと話すことがあると思いますが、そのなかでも自分がどのような目的意識を持っているかは、非常に重視されると思いますので、十分に心の準備をしていったほうがいいと思います。

 この他にはスウェーデン協会(Swedish Institute)のホームページも参考になるかもしれません(奨学金情報もあります)。

3. 留学準備のタイムテーブル

 一般的には、どんなに遅くとも半年前までには最終決定をしておかないと、間に合わないと言われますが、私もそう思います。そのためには、調査期間を含めて少なくとも1年くらいは準備期間が必要なのではないでしょうか。

 私の場合、最初に留学のことを考えてから実際に留学するまで、2年弱を要し、最終的に決断をしたのは8カ月前でした。スウェーデンの場合、ビザの審査に2カ月程度、見ておかなければならないので(私の場合、実際には1カ月程度で発給されましたが)、遅くとも4カ月前にはビザ申請に必要な書類を送ってくれるよう、先方に依頼しなければなりません。

4. ビザの申請

 東京のスウェーデン大使館のホームページの領事部の項(Consular Affairs)に、スウェーデンのビザ(Residence Permit・Work Permit)の申請方法に関する情報がありますので、まず、こちらを参考にされることをお勧めします。

 私の場合、以下のような書類を東京のスウェーデン大使館領事部に提出するよう求められました(すべて正・副2部ずつ、英語で可)。

・申請書(電話をかけて送付を依頼しました)

・パスポート

・留学先からの"Offer of Employment"という書類

・留学先からの住居確保の証明(Faxで大丈夫でした)

・留学先から給与が出ない場合、十分な生活費を有する証明(預金証明書・奨学金証明書など)

・履歴書(留学後の予定も含めて)

・写真

 他の同僚によると、家族を同伴する場合は、さらに以下のような書類を提出するよう、求められたとのことです。

・家族それぞれの履歴書

・家族を同伴したい理由を述べた上申書

 申請にあたり、面接に呼び出された人と、呼び出されなかった人と、両方いるようです(私は書類だけでした)。面接は英語で行われることが多いようです。

 スウェーデン大使館領事部の連絡先は以下の通りです(2000年2月時点)。

スウェーデン大使館領事部

〒106-0032 東京都港区六本木1-10-3-100

Tel: 03-5562-5050

Fax: 03-5562-9095

ホームページ:http://www.twics.com/‾swedemb/japanese/index.htm

最寄り駅:地下鉄日比谷線神谷町駅

 私の場合、申請後1カ月ほどでビザが発給されたとの連絡がスウェーデン大使館からあり、窓口まで受領に出頭しました。ビザは1年間有効のもので、パスポートに貼られていました。一般的に複数年滞在の場合でも、1年間有効のビザしか交付されないようなので、1年後の在留許可延長手続き時の連絡先(移民局)を記載した紙も添付されていました(スウェーデン語)。

5. 引っ越し

 いろいろと調べたのですが、郵便局の国際小包がいちばん経済的なようです(郵便局に行くと料金表をもらえます)。日本からスウェーデンに送った場合、船便で2〜3カ月、SAL便(エコノミー航空便)で2週間前後、航空便で1週間以内、EMS(国際ビジネス郵便)で3〜4日程度のようです。スウェーデンあての場合、小包一個当たりの重量の上限は20キロまでのようです。家族の荷物が多かった人で、民間の国際引っ越し業者(日通、ヤマト運輸など)を利用した人もいます(船便で約30万円くらいかかるらしいです)。個人的印象では、船便はどうも荷物の傷みが大きい傾向があるので、基本的にはSAL便を中心に利用するのが経済的かつ無難なように思われます。

 あと、サバイバル編 その1 食事についてを参考にして、こちらで入手困難な食材(とくに自分が好きなもの)をトランクに忍ばせておくと、生活立ち上げ期のトランキライザーとして有効です。個人的経験によれば、ふりかけ・お茶漬けのもと・インスタント味噌汁・羊羹・おかき・カレールー・海苔などが即効性があり、著効を奏すると思われます(ただしこれらは当地でも日本食材店にて入手可)。また日本語の音楽CDなども、外国語に疲れた時には本当にほっとします。

6. 航空券

 大学院の身分で留学する場合、大学生協でSASの学生割引航空券が購入できました(1999年4月現在)。これは1年FLEXで、手数料を払えば帰路の日程の変更が可能なもので、価格もリーズナブルでした。それ以外の場合、格安航空券を片道利用して、帰路を放棄するケースが多いようです(それでも正規片道普通運賃より大幅に安い)。種類は非常に少ないが、片道の格安航空券もないわけではないようです。変わったところではスターアライアンスの世界1周航空券が正規の1年OPENのチケットとしては割安なので、アメリカ観光がてら使ってみるのもおもしろいかもしれません。また、1回のフライトの距離が長いので、マイレージカードを作っておくと、あっというまにマイルが貯まります。

7. その他の情報

 スウェーデン政府が運営するThe Swedish School Netというサイトの中に、スウェーデンの教育システムに関する情報(英語)がありますので、子供がいらっしゃる方は参考になるかもしれません。


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Last Updated 2000/02/02

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