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御在所(本谷)登山記録

 2011年11月13日 モンベル名古屋店主催の登山技術講習会(スリング編)に参加した。集合時間の9:30の2時間以上も早く現地に到着したので、その待ち時間にちょっと本谷経由で山頂まで登ることにした。本谷は「沢登り」である。しかしシャワークライミングする場所はなく水に濡れずに山頂まで快適に登れる。最後に大黒岩に到達する楽しいコースである。
 本谷登山口「上級者以上」の看板が立っている場所から約30分入った場所で比較的大きな不動滝に出会う。滝の左岸(上流に向かって右側)の岩の裂け目には隠れるように古いザイルが垂れている所を垂直に登ることも可能だ。しかし右岸にある巻き路を使えば簡単に登れる。
 本谷を逸れて脇沢へ迷い込まないように分岐点付近の岩にはマークが付けられているのは有り難い。しかし赤色のペンキは汚いばかりか決して安全なルートを示しているわけではない問題もある。ある場所では安全な左岸の巻き路に「X印」が付けられて、「○印」で小さな奥の滝へ誘導している。その滝の周辺の岩壁には絨毯のように苔が付いて、その斜面の岩に乗ると苔と一緒に滑り落ちる危険性がある。事実誰かが滑った痕跡として苔の一部が剥がれ落ちていた。できれば赤いマークはすべて消し去って自然のままの沢を動物的感覚だけを頼りに自由に登りたい。おそらく同じような気持ちの登山者の仕業だと思われるが、多くの赤色マークは銀色のスプレーで地味に消されている。

尚、私が本谷ルートの魅力を知ったのは大学院生である渡辺さんとその友人の北村さんのおかげだ。二人の案内で今年の10月下旬に登った時に快晴に恵まれて大黒岩に立った時に伊勢湾まで見渡せる絶景に感激した。以来すっかり気に入ってしまい、この1ヶ月の間に3回も登った。名古屋を早朝に出発すれば午前中で登って帰ることができる場所にじつに楽しい遊び場をみつけた。

危険性
本谷は危険な場所であるからこそ「上級者以上」の看板が登山道入り口に掲げられている。その理由を3つ挙げるとすると、第一にルートファイングィングが難しい。一般に沢登りでは所謂登山道はない。沢を埋めているたくさんの岩を中から安定な足場を選んで飛び乗るか、巨岩ならば直接よじ登るか、直登できなければ両側の崖に巻き路を探すか、一歩一歩を判断して登る必要がある。第二は雨天で沢水が急激に増水する危険性がある。前日も含めて安定した気象条件で登山するべきである。第三に浮き石に触れることで崖が突然崩落する危険性がある。落石や転落など万が一の事故に備えて私はヘルメットをつねに装着する。以下は実際に昨日発生した遭難事故の報道記録である。一瞬で悲惨な事故が発生する恐ろしさを感じた。

今回の遭難者は岩が動き始めた瞬間に退避するどころか、後を登る登山者に被害が及ぶことを心配して自分の力で岩の動きを喰い止めようとしたらしい。結果的に遭難者は逃げ遅れて落石の直撃を受けて谷へ20m転落して重症を負った。下を登る登山者はあらかじめ前を登る登山者が落石を起こす可能性を想定して、その直下には入らないように二人の相対的位置に注意しつつ登っていたためにこの難を逃れることができたようだ。

遭難者に生命に別状はないことは不幸中の幸いであった。大自然の中で人間の弱さを痛感させられる。

三浦 裕
名古屋市立大学医学部分子医学研究所分子神経生物学(生体制御部門)准教授
名古屋市立大学蝶ヶ岳ボランティア診療班運営委員長

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(Last modification, November 24, 2011)