Yutaka Miura's home page
(the third page level)

木曽駒ケ岳 上松尾根登山報告書-----下山途中のスリップ転倒の反省-----

メンバー>Koji MANO、 Yutaka MIURA
<日程>2016年12月23日(金)〜25日(日)
<山域>木曽駒ケ岳(上松尾根)
<目的>冬山合宿へ向けての体力トレーニング、雪山テント生活訓練、軽量化準備

<行動記録>
2016年12月23日(金)曇りのち小雪。昼から夕方にかけて新雪10 cm。夜快晴(満天の星)。 10:30北股沢手前の駐車場から斐駒ヶ岳Aコースが始まる。車を置いて滑川の河川敷の沿いの緩やかなトレースを進み、敬神ノ滝小屋(3合目)まで26分で到着した(10:56)。金懸小屋の水場が枯れている可能性があったので敬神ノ滝小屋脇の谷川で4Lの水をプラティパスに汲んで荷揚げした。敬神ノ滝小屋からすぐ樹林帯に入ると道は険しくなって途中に「胸突八丁」の看板が立っていた。緩やかな上り下りの部分には「らくだの背」という看板が立っていた。それぞれ地形に合わせた名前がルート上につけられて面白い。 13:19金懸小屋到着。小屋は5合目で御嶽山の見晴らしが素晴らしい場所に、長野県木曽郡上松町 上松町観光協会が建設したログハウスである。窓も広いので中はとても明るく気持ちがよい無人の避難小屋である。小屋の中には湿った布団や毛布や、折りたたみ式のテーブルなども用意されているので宴会もできそうだ。


金懸小屋

小屋から登山通沿いに30mほど進んだ所にあるルンゼから水が流れ落ちる音が聞こえた。探索すると登山道から手がとどく所まで黒色ホースが敷設されていて、ホースから簡単に水が汲めるよう水場が作られていた。


水場

2016年12月24日(土)快晴。微風。
6:41 5合目 金懸小屋を出発。
8:01 6合目から7合目の途中に平坦でテントが2〜3張り設営できそうな場所を通過。
8:41 7合目を越えた樹林帯の中に、3つのテントが張ってあった。
9:47 8合目 地蔵群のある平坦な場所に到着した。本日の幕営予定場所だ。すでに京都の山岳会の3人パーティがテント一張っていた。8合目を超えると樹林帯から抜けて稜線に出る。ダケカンバの枝は樹氷で白く輝いていた。
11:34 9合目木曽前岳(標高2826m)周囲はなだらかな雪原が広がって、そこから見下ろした場所に玉乃窪山荘が雪に埋まっていた。


玉乃窪山荘



宝剣岳

十分に時間があったが、木曽駒ケ岳アタックせず、のんびりと木曽前岳から、木曽駒ケ岳、宝剣岳、遠くに御岳などの絶景を楽しんでから、幕営予定地の8合目に下った。
13:33 8合目の幕営予定地には地蔵が群立していた。吹き溜まりの積雪は2mを超えていたので地面までは掘り進むことはできなかった。1mほど雪を掘り起こして、最後は雪を足で踏み固めて寝床を平らにしてテントサイトを作った。



2016年12月25日(日)晴れ
6:53 8合目幕営地を出発。
8:14 5合目金懸小屋着。ここでアイゼンをはずした。
9:54 3合目敬神乃小屋着。
10:25 北股沢手前の駐車場着。
寝覚めの床にある公共の宿舎「寝覚めホテル」で500円で入浴した。


<下山途中のスリップ転倒による打撲傷>
12月25日。敬神乃小屋の手前の3合目半あたりまでルートに雪もほとんど消えていた。周囲はクマザサが茂る森だ。私は安全な場所だと判断して、アイゼンを外して気楽に駆け下りていた。ところが、その下山行動中に地面から露出していた樹木の根に左足を載せて、あっ!と思った瞬間にその左足が滑って左側を下にして尻餅をついてしまった。その際に運悪く転んだ場所に突出していた根で左大腿部を強打してしまった。かなり強い痛みを感じたが、幸に両足で立って歩くことができた。骨折はない。外から見える活動性出血もない。単純な打撲なら下山して温泉に入れば、痛みも消えるだろうと思った。ところが、温泉に入るとますます痛みは強くなった。おそらく内部で血腫が拡大して筋膜を緊張させて痛みを強くしたのだろう。血腫の増大を抑制するためには初期救急治療として局所のアイシングが有効だ。私は受傷直後にアイシングすべきところを、風呂に入って温めてしまった。帰宅後から翌日にかけて打撲部の痛みがますます強くなり、下山当日から2日目まで圧痛のために左側に寝返りも打てなくなった。受傷から3日目に入って受傷直後には気がつかなかった黒アザが皮膚表面から見え始めた。幸い圧痛は軽減傾向にある。この調子で血腫が吸収されて治癒に向かうことを期待している。
打撲症で注意すべき合併症はコンパ−トメント症候群である。組織内出血で組織内圧が急激に異常上昇すると細動脈の血行障害を引き起こす結果として筋、腱、神経組織が壊死することがある。いったん組織が壊死に陥ると機能障害は永久的になるため初期の迅速な診断が重要だ。幸に私は左足にしびれ感も冷感もないので、コンパ−トメント症候群は除外できる。したがって緊急に血腫を吸引する必要はない。むしろ血腫の内圧のおかげで出血が止まっている状態と考えられるので、再出血を起こす危険性を避けるため、できるだけ安静にして自然経過で治癒を待つのがよいだろう。

軽量化リスト(数値の単位:グラム)

分類ブンルイ 商品名ショウヒンメイ 重量ジュウリョウ 軽量化ケイリョウカ
財布サイフ オモ:コイン、健康ケンコウ保険証ホケンショウ身分ミブンショウメイショウ証明証syoumeisyouなど 354  
  カル:クレジットカード、運転免許証、ETCカードの3枚で 16 338
救急キュウキュウ用具ヨウグ オモ:テーピングテープ1巻き12m 86  
  カル:テーピングテープ4mをコルクイタ 26 60
メモチョウ オモ:革製表紙小型ファイルnノート 129  
  カル:プラスチック製表紙ファイルノート 60 69
ガソリンボトル オモ:ソト(SOTO) 広口フューエルボトル 178  
  カル:ペットボトルにダクトテープを巻く 70 108
ザック オモ:アライ ザック・マカルー70L +10L 1820  
  カル:アライ ザック・グランクロワール  55L +10L 1700 120
ハーネス オモ:ペツル・カドリス 490  
  カル:ブラックダイアモンド・クロワール 230 260
確保器 オモ:ペツル・ルベルソ3 77  
  カル:ペツル・ルベルソ4 63 14
シュラフ オモ:NANGA AURORA 600DX 4シーズン軽量モデル 耐寒taikaン -11℃ 1250  
  カル:FREE LIGHT ラピュタ 3.5           耐寒 -11℃ 710 540
減少ゲンショウ 1509
マットレス 軽:Therm-a-Rest NeoAir XliteR値:3.2エアーマット 119cm 230  
  オモ:Therm-a-Rest Z Lite sol; R値:2.6独立ドクリツ気泡キホウマット 183cm 410 180
増加ゾウカ 180
減少ゲンショウ-増加ゾウカ軽量化ケイリョウカ合計ゴウケイ 1329

SOTO製 MUKA SOD-371の使い心地
今回使ったストーブはSOTO製 MUKA SOD-371である。これは 4,000kcal/hの高カロリー出力の日本製ガソリンストーブである。雪を融かして水を作る作業に優れている。最大の特徴はメタによる余熱なしで、瞬時に点火できることだ。まるでガスストーブと同じ感覚でストレスがなく点火できることは素晴らしい。ダイアルをStartの位置にゆっくり回すると、ガソリンと空気の混合物がシューと音を出してノズルから噴出する。このメカニズムが画期的アイディアで、余熱なしで点火できるメカニズムを作り出している。ガソリンの気化が促されて、余熱なしで最初から青い炎を作り出すことを実現した。それでも最初の10〜15秒ほどは大きな炎が立ち上がるので、炎が安定化するまでの10〜15秒間待つ。炎が安定する前に、あわててダイアルをRunに回すと液体状態のガソリンが周囲に漏れ出て引火する。必ずダイアルがStartの位置で炎が安定するのを待ってから、ダイアルをRunに切り替える。ダイアルをStartの位置のままで放置しても炎は青い。しかしボンベ中の空気が少しずつ抜ける状態だから、内圧が下がるのが早い。持続的に燃焼させるためには、ダイアルをRunに切り替えて使う。注意:ホースと調節装置の接続部分にOリングがないにもかかわらずガソリン漏れはないほど精密にできている。精密にできているが故に、この接続端子を曲げたり、傷をつけると接続ができなくなったり、ガソリン漏れが生じる可能性がある。接続端子を保護するようにゴムキャプが付属しているので、輸送中もきちんとゴムキャプをして取り扱いには十分注意する必要がある。


木曽前岳(標高2,826m)にて、背景は木曽駒ケ岳(標高2,956m)

三浦 裕
名古屋市立大学大学院医学研究科分子神経生物学准教授
名古屋市立大学蝶ヶ岳ボランティア診療所 開設者
愛知県山岳連盟所属 社会人山岳会 チーム猫屋敷


to top menu of Yutaka Miura's Home Page

Please forward all comments, suggestions, or corrections to Yutaka Miura
(Last modification, Dec, 28 2016)