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ローマ国立中央図書館とヴァチカン図書館への訪書

 ローマ国立中央図書館(Biblioteca Nazionale Centrale di Roma. Vl. Castro Pretorio 105-00185 ROMA. Tel +39-06-49-891)はローマ市の地下鉄B線Linea BでTermini駅から一駅、Castro Pretorio駅を出たところにある。左下写真のように正面のレンガ塀にでかでかと「BIBLIOTECA NAZIONALE」とあり、すぐ分かる。右下写真の右側建物に入り口がある。当図書館の利用はパスポートを持参し、書類に記入して閲覧証を発行してもらえばよいが、古典籍の閲覧には事前連絡と所属機関からの紹介状等を持っていった方がよいだろう。

 左下は入り口で、タバコはここでしか吸えない。私の右はDr. Ernesto Nastari Micheli。彼は中国博物誌の研究家で、当図書館の『本草品彙精要』Bencao Pinhui Jingyaoにも詳しく、今回の訪書で大変お世話になった。右下はローマ本『本草品彙精要』を収蔵するCollezioni speciali(善本室)の前で感慨にひたる姿。
  下写真の私の左でDr. Elena Caprariが開いている1冊と、右横に並べられた洋装の16冊とが目当てのローマ本『本草品彙精要』。Dr. Caprariは中国古代医学とくに『内経』の研究家で、今回のイタリア訪書は彼女の公私にわたるご助力で実現した。左端に立っているのはDr. Nastari。

 左写真は左から、いまミュンヘン大学でウンシュルト教授と共同研究中で、ローマで合流して一緒に調査した中医研究院医史文献研究所の鄭金生教授、中央が今回の当ローマ本の閲覧に多大な便宜をいただいたCollezioni Orientali主任の Dr. Marina Battaglini女史、そして私。Battaglini女史の前がローマ本である。

 の調査結果を詳細に検討したところ弘治原本に基づき筆写していると判断された。またローマ本は1722-31年間に清の宮廷ないし怡親王府で、清朝宮廷画家グループの関与により制作されただろうと思われた。

 さてヴァチカン図書館(Biblioteca Apostolica Vaticana. 00120 Citta' del Vaticano, Tel: +39-06-69879495)は地下鉄Linea AでOttaviano S. Pietro駅から徒歩7、8分。サン・ピエトロ広場に向かう道から広場の少し手前で右に入り、門衛の後方の部屋でパスポートと所属機関の紹介状、当図書館からの連絡などを示して入国許可証を発行してもらう。はヴァチカン市国に入国したところ。後方の門を入って右折した正面の建物が図書館となっている。

 は図書館の正門を入ったところ。ここの左側で再度厳重な審査と注意を受けて一日だけの閲覧許可を受けただけに、私も緊張した面もちになっている。この後の階段をズウーと高くあがった2階が閲覧室で、写本(善本)室と印刷本(普通本)室に分かれている。ただしコレクション毎に振り分けられていたりして、和漢の古典籍は刊本・写本ともに双方に分散してあり、同帙本が双方に泣き別れで収めらる例もあった。

 閲覧は午前3種、午後2種の制限内で許され、自分のテーブルに持って来れるのは1回に1冊だけ。つまり1書が『本草綱目』のように何十冊の場合でも、1冊づつしか渡してくれない厳重さ。これに違反したり抗議したりすると即刻、永久入館禁止処分を受けるという。私も隣で一緒に調査していた鄭金生氏の本を見ていたところ、「それはあなたが閲覧申請した本ではない」と注意された。しかし十数世紀とおぼしき巨大な羊皮紙写本までドンドン出てきていたので、厳格なのもいたしかたないだろう。

 なおヴァチカン図書館での閲覧調査には、京大人文研の高田時雄教授より資料提供とご助言、当館East Asian CollectionsのClara YU Dong女史よりご助力をいただいた。