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磯部彰編『図録 国宝「史記」から漱石原稿まで−東北大学附属図書館の名品』140頁、
文部科学省特定領域研究「東アジア出版文化の研究」総括班刊、2003年10月

95参考『明堂銅人形図』 一原秀庵編 2帖 天保11(1840)年刊 狩野文庫    
<狩9-22510>

 第1帖は仰人(正面)図で、縦132.8×横55.5cm。上下に5枚の版木で分割印刷される。上欄に「唐甄権明堂銅人形図。表裏二幅対」と題する文があるが、唐代の甄権が当図の編者ということではない。当文は次紙に続き、神農・黄帝から王叔和・甄権にいたる医家の略史に続け、各十二経の流注を述べる。本帖右には胃経・肺経・心経・脾経・陰図陽図分別各経、左には胆経・心包経・腎経・肝経・三陰三陽走属色象の起止と説明の文がある。図の人物は唐人風で、代表的骨格のほか、経脈を黒線、経穴を各経毎に○●△▼□■で表し、穴名を記す。

 第2帖は伏人(背面)図で、体裁・版式も第1帖に同じ。第1帖から連続する上欄文の末尾に、「京都山脇家の門人、一原句當秀庵一が刊行する」と記される。本帖右には大腸経・三焦経・督脈・手之三陰三陽経・経穴起止歌、左には小腸経・膀胱経・任脈・足之三陰三陽経・交経流注説の起止や説明がある。人物等の様式は第1帖に同じ。右下に天保11(1840)年の刊記がある。同様の図は現在も中国・日本・韓国などで針灸家向けに出版されており、こうした絵図の需要は時代を越えている。
 

(真柳 誠)