美食・美酒の一夜@韓国(03年3月12日夕食)←戻る
ある日、奎章閣の閲覧室で友人のDr Kim Hooもマイクロフィルム調査をしていた。当然、一緒に昼食をということになり、彼の車でキャンパスの最高位置にある広東料理のレストランに案内された。ここは高所からの絶景が売り物なのだが、入店不可の学生は自然破壊の店と非難しているとのこと。そこでKim
Hoo氏が共同研究している生命科学部のKim Sunyoung(金全栄)教授と偶然会い、紹介された。金教授はハーバードに留学し、オックスフォードで学位を得たとのことで、むろん英語が問題なく通じる。それで次週の12日に一緒に夕食をということになった。
最初はイタリアンの店にしようと言っていたが、私が現地料理主義を主張したため、彼らはガイドブックで調べ、金教授の弟も来たことがあるという韓国伝統料理の店に案内してくれた。下写真は最初に出たジョン(Jeon)という野菜や魚・肉などを材料に卵と小麦粉を付けて焼いた物。一口サイズのお好み焼きの雰囲気で、コチュジャンないしワサビ醤油を付けて食べる。ウドン・トンカス同様、ワサビは韓国に外来語として定着しているが、日本より緑の着色が強く、練りが固い。
下写真は次に出たホンオチム(Hong-eo Jim)という発酵させたエイを蒸した料理。かなり高価な料理とのことで、私を驚かすためと、Kim
Hoo氏が好きなために注文されたらしい。強烈なアンモニア臭がし、金教授の話ではこのアンモニア発酵で他の雑菌が絶滅するとのこと。食べると確かに旨味は感じるが、それ以上にアンモニアの刺激臭が口鼻に残り、私もさすがに三口が限界で、翌朝もこのニオイを思い出す始末。私はB級グルメを自認するが、これは高価なせいもあり、私の美食リストには入れないことにする。 下写真はDuBu(豆腐) Kimuchiという文字どうり豆腐キムチ。ただ豆腐は木綿を湯通ししてからスライスして黒ごまを振り、キムチは小口切りの後に軽く炒めてあったと思う。豆腐に中心のキムチを載せて食べるのだが、これは是非とも日本で再現してみたい一品だった。 下写真はDong Dong Ju(ドンドン酒)といい、マッコリが出来上がる一段階前という酒で、ドブロクに似た感じだった。米などの穀物を蒸した中に、麹と水を加えて発酵させたあと、上澄みだけをとった酒という。私が飲んだことのあるドブロク(学生の家作)よりトロっとしていて、もっと辛口で美味い。下写真右の45度ほどある安東焼酎を空けた後だったせいもあるが、このドンドン酒も3人で2椀空け、皆すっかりいい気分になった。少なくとも普通の日本酒よりは強いようだ。 私がバンドでギターを弾くという話から、さらに金教授はギター演奏も可能という店に案内してくれた。生演奏が聴ける店で、下写真左のように韓国伝統笛や右のようにバイオリン3本とピアノのカルテット演奏があったり、かなり多彩。みな相当に上手く、音大の院生以上のように思えた。 下写真左のように私もギターで加わり、ピアノ(ドラムとベースはカラオケ)とでクラプトンや韓国の曲を演奏した。前のテレビ画面に楽譜がカラオケ同様に出てくるのが面白かった。加わった女性歌手は声量もあり、ものすごく上手いのに舌を巻いた。やはりセミプロだろう。 この夜は上写真右(左から金教授、私、Kim Hoo氏)のように、好い音楽もあって盛り上がった。ただし最後に「爆弾」という、ウイスキーのビール割りを3杯まで飲んだ段階で私の記憶はとぎれている。朝方に寒くて気が付くと、宿舎の床で服を付けたまま寝ていた。後日、Dr
Kim Hooに尋ねると、彼がタクシーで送ってくれたが、まだ私の意識はあったとのこと。しかし何も憶えておらず、困ったもんだ。なお当夜の美食・美酒は全て金教授まかせだったので詳細は不明。ここの物価からすれば、うんと高価な一夜だったのは間違いない。十分に堪能させていただいたが、B級専門の私にはぴったりしない一面もあった。