誇大広告続々

恥知らず.こんな薬屋の提灯持ちを署名記事にしちまうってのは恥を知らない何よりの証拠.
-----------------------------------------------------------------------------------
“心不全パンデミック”へ対応必要  世界潮流に乗り遅れる治療薬開発(日刊薬業 2016年11月7日 )

 欧州心臓病学会は今春、4年ぶりに心不全の診断・治療ガイドラインを改訂し、新規クラスの治療薬であるアンジオテンシン受容体ネプリライシン阻害薬(ARNI)を推奨した。米国の関連3学会も同じタイミングでガイドラインを見直し、ARNIとともに心拍数の低下作用があるイバブラジンを取り上げた。欧州心臓病学会は改訂前のガイドラインからイバブラジンを記載しており、両剤とも未発売の日本は、心不全の薬物治療の世界的潮流に乗り遅れているといえる。

 欧州心臓病学会は、左室駆出率の低下した心不全(HFrEF)に対する治療アルゴリズムで、ARNIをクラスIで推奨。ACE阻害薬またはARB、β遮断薬、ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬(MRA)で症状の十分な改善が得られず、左室駆出率35%以下の場合、ACE阻害薬またはARBからARNIへ切り替えるべきと促している。心不全の標準治療に組み込まれた形だ。

●ARNIはノバルティス開発品のみ

 現在、ARNIに該当するのはスイス・ノバルティスが開発したLCZ696(ネプリライシン阻害薬サクビトリルとARBバルサルタン合剤)のみ。ネプリライシン阻害薬は心臓の負荷を軽減するナトリウム利尿ペプチドの分解を抑制し、ARBとの合剤化によって心不全改善の相乗効果が期待できる。

 LCZ696はHFrEF患者を対象にした大規模試験PARADIGM-HFのエビデンスを基に、米国で昨年7月に、欧州で同11月に承認。日本ではノバルティス ファーマが、HFrEFの慢性心不全を対象とした臨床第3相(P3)試験PARALLEL-HFを昨夏に始めたところだ。

 一方、左室駆出率が保持された心不全(HFpEF)については、HFrEFで確立された治療薬を使った大規模試験で生命予後の改善効果が認められておらず、世界的に見て課題となっているが、同剤のP2試験PARAMOUNTでは有効な治療となり得る可能性が示された。HFpEFが対象の国際共同試験PARAGON-HFが2019年3月までの予定で進められており、循環器専門医の多くが注目している。

●イバブラジン、小野薬品が仏社から導入

 イバブラジンはイオンチャネルの一つであるIfチャネルを選択的に阻害して洞結節の機能を抑制し、心拍数を下げるという新規クラスの薬剤。欧州心臓病学会のガイドラインではACE阻害薬またはARB、またはβ遮断薬、MRAによる治療でも左室駆出率が35%以下で、洞調律かつ心拍数が1分当たり70回以上の患者に、クラスIIaで推奨されている。

 欧州で06年に安定狭心症治療薬として発売。慢性心不全を対象にした国際共同試験SHIFTで予後改善効果が示され、12年2月に適応拡大の承認を取得した。海外ではこれまでにさまざまなエビデンスが蓄積されており、英国と米国からは費用対効果に優れているとする報告も出ている。

 国内では小野薬品工業が、同剤を海外で販売する仏セルヴィエ社と11年9月にライセンス契約を結び、日本で独占的に開発・商業化する権利を取得した。HFrEF患者を登録したP2試験では、2.5mgと5mg(いずれも1日2回)の開始用量で安静時心拍数を減少させ、2.5mgが比較的安全だったことを確認。同剤も昨年、P3試験に入った。

●MRA、国内はファイザーが開発

 またミネラルコルチコイド受容体拮抗薬(MRA)も改訂前のガイドラインから、クラスIで位置付けられている。ACE阻害薬またはARB、またはβ遮断薬で十分な症状の改善などが認められない患者に追加投与する。国内に関してはファイザーが10年7月に、アルドステロン拮抗薬「セララ錠」(一般名=エプレレノン)の慢性心不全患者に対するP3試験を開始すると発表。いまは適応追加を申請中の段階だ。同剤の適応症は高血圧症で、厚生労働省の「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議」が、開発を必要とする品目に選んでいた。

●SGLT-2阻害薬に期待高まる

 一方、ガイドラインの推奨薬に続く治療薬の一つとして期待を寄せられているのが、糖尿病治療薬のSGLT-2阻害薬だ。独ベーリンガーインゲルハイムと米イーライリリーは「ジャディアンス」(エンパグリフロジン)、英アストラゼネカは「フォシーガ」(ダパグリフロジン)について、慢性心不全に対する有用性を検討する臨床試験を行うと明らかにしている。国内の専門医からも、その作用機序やジャディアンス・EMPA-REG OUTCOMEの心不全サブ解析を踏まえ、SGLT-2阻害薬を「欠点のない理想的な利尿薬」と評価する声が聞かれる。

 日本の心不全患者数は、人口の減少と65歳以上の老年人口割合の急増に加え、医療の進歩により、30年には130万人に達すると推計されている。“心不全パンデミック”と呼んでも過言ではないような状況だ。今後、医療経済を含めた問題として捉え、予防法から検討していく必要性がさらに増してくるだろうが、その中で効率的な治療を実現するためのツールとして、世界と同等の治療薬を使える環境を整えることも大切である。(久谷 靖哉)
-----------------------------------------------------------------------------------
目次へ戻る