医者の労働時間

いつもの二条河原らしくない,ありきたりの題名である.内容がありきたりではないので,題名はありきたりでもいいということだ.

研修医の労働時間
Limits imposed on residents' work hours. Lancet 2003;362:378
研修医の労働時間の制限は,研修医を過労死から救い,酔っぱらい運転さながらの危険にさらされる患者の安全につながるか?もしそれが実現できたとしても,問題は解決しない.事情はそれほど単純ではない.研修医の労働時間が制限される分,上の誰かが余計に働かなくてはならない.そしてその労働に対して,研修医よりも余計に金を払わなければならない.こういった対価は誰が負うのか?下記の記事も大いに参考になるので,一読されたし.

十川 博「レジデント労働時間は週80時間以内」規制を設けたニューヨーク州の実際 週刊医学界新聞  第2555号 2003年10月13日

医師は寝ていても病院内待機は勤務時間
 【ブリュッセル2003・9・14日共同】欧州司法裁判所(ルクセンブルク)が,このほど、ドイツ人医師の勤務時間確認の訴えにこんな確定判決を出し、欧州の医療関係者に衝撃が走っている。

欧州連合(EU)が勤務医の労働時間を制限するべきとの方針を打ち出しているため、待機時間が労働時間に算入されれば、ドイツなど一部の国では
医師を増員せざるを得ず、人件費の高騰による病院経営の圧迫、医療費の値上げにつながりかねないからだ。

最低賃金や当直が昼間と同じ労働時間とされる労働基準法裏付けに関しては→こちらのページで文書がダウンロードできる

『自分の身は自分で守れ』
「研修医過労死事件」で無くなった森先生のお父さんの森大量さんらが、医師、研修医、医学生向けに『自分の身は自分で守れ』というリーフレットを作られました。
*********
『自分の身は自分で守れ』(研修医・医師 労働条件を改善する会 編)定価1000円(送料・消費税無料)

研修医・医師たちに労働基準法をわかりやすく解説する冊子を、日本初の「研修医過労死裁判」を闘っている森大量さんらが発行しました。書店では扱っていません。冊子の収益金は、全額、会の活動に使われます。

巻頭には、労基法を”武器”に、県立病院の労働条件を改善してきた元研修医へのインタビューも掲載しています。お申し込みは、e-mai: hmori@pine.zero.ad.jp 、またはFAX.072-293-2230のどちらかで、冊数・郵便番号・住所・氏名・電話番号を同会にお知らせください。郵便局の振替用紙とともに冊子が届きます。同会(本部・大阪府堺市)は全国に支部があり、社会保険労務士が無料で研修医・医師からの相談に乗っています。お問い合わせは、「研修医・医師 労働条件を改善する会」(電話072-298-3975)まで。
*********

→二条河原へ戻る