夢のある臨床試験

Use of probiotic Lactobacillus preparation to prevent diarrhoea associated with antibiotics: randomised double blind placebo controlled trial. BMJ 2007;335;80

抗菌薬に起因する下痢に対する乳酸菌の有効性を検討した試験である。こんなcommon diseaseなのに、被験者数はたったの135人。NNT=5、絶対リスク減少21.6%。相対リスク減少に換算すると約65%これだよ。臨床試験はこうでなくっちゃ。

介入方法も極めて簡便だ。抗菌薬による下痢という、極めて普遍的な病態に対して、それも高齢の入院患者という一般化可能性の高い集団に対して、抗菌薬使用中とその後1週間、一日二回乳酸菌飲料をを飲むだけ ってんだから。目の玉の飛び出るほど高い薬を5年も10年も飲むのと訳が違う。

何億$もかけて、何千人を何年も追いかけた臨床試験データを巡って侃々諤々、すったもんだの挙げ句の果てに出てくるのがNNTが3桁の薬。しかも日本人の御利益が不明ときてる。これじゃあ、審査員の成り手がいなくなるのも無理はない。

目次へ戻る