完全な痴呆患者

昭和10年12月10日に
僕は不完全な死体として生まれ
何十年かかって
完全な死体となるのである
(寺山修司が青森高校時代に書いた詩の一節)

昭和36年8月19日に
僕は不完全なガン患者として生まれ
何十年かかって
完全なガン患者となるのである
(名郷直樹が40歳過ぎて書いた詩の一節)

昭和31年4月12日に
僕は不完全な痴呆患者として生まれ
何十年かかって
完全な痴呆患者となるのである
(池田正行が46歳を過ぎて書いた詩の一節)

やはり人間には才能の差がある.天は人の上に人を作る.寺山修司が高校時代にすでに理解していたことを,池田正行は46歳になってようやく気づくのである.それも自分で独立して理解したのではなく,名郷直樹の文章を読んではじめてわかったのだから,寺山と池田の間には天地の差がある.名郷と池田の間にも大分差があるようだ.

参考文献
1.名郷直樹.構造主義医療の挑戦 第11回 不完全な死体と天国.JAMICジャーナル 2003年3月号 p43
2.池田正行.職務か趣味かhttp://square.umin.ac.jp/massie-tmd/patton.html

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