減ってたまるか医療事故

医療事故ですか?減りませんよ.あなたが,医療費を抑制しなければならない,これ以上健康保険料を払いたくないと思っている限りね.危機管理はね,金がかかるんだ.それに見合った金を払ってくれなきゃ,誰が医療事故防止に本気になって取り組もうとするもんか.

もうすでに,日本の医療コストパフォーマンスは限界までに高められている.これは私の独断ではなく,WHOのお墨付きを得ていることなんだ(World Health Organization. The World Health Report 2000. WHO, Geneva ISBN 92 4 156198 X.).若い医者に満足な教育も受けさせず,過労死のリスクを負わせ奴隷労働を強いる.これが世界に誇る日本の国民皆保険のコストパフォーマンスの秘密だ.救急医療現場で,研修医が一人で働いているって?そうですよ.そんなこと,今更あげつらってどうしろってんだ?そういう体制を強いているのは,厚生労働省じゃないんだ.あなたがた一人一人の健康保険料が安いからなんだ.いいサービスを受けたけりゃ,もっと金を払えってえの.

医療現場が”たるんでいる”から事故が起こると思ったら大間違いだ.今,医療現場にいる一人一人は,手を抜いて事故を起こしたら,患者さんを不幸に陥れるばかりでなく,自分も職を失うわけだから.本当に一生懸命やっているんだ.事故を起こした人間のほとんども一生懸命やっているんだ.それでもなお,たるんでいるから事故が起こると思っているあんたの頭の構造は,試合で負けた後選手に正座させる野球部の 監督とか,その昔,竹槍で戦車に立ち向かえと言った誰かさんと同じだぞ.

事故はある確率で起こる.その確率を高くする最大の原因は,人が足りずに忙しすぎることだ.一方,事業にかかる金を減らす一番効率的な方法は人件費を削減することだ.医療費削減は医療従事者の人減らしということで,事故の増加に直結する.

これ以上金は出せない,でも,もっとしっかりやれ,これをやらずぶったくりという.これでは,誰だってやる気はおきなくなる.医療事故を少なくしろ,もっと内容の充実した医療をやれっていうんだったら,それだけあんたがた国民とやらが保険料を多く払うべきだ.それが,まっとうな交渉っていうもんじゃねえか.

自分が失業するかもしれないってえのに,”痛みを伴う”(昔は”お国のために”というキャッチコピーだったんだが,今風に言うとこうなる)ことを納得しちゃったあなたなんだから,健康保険料を多く払うぐらい,何ともねえだろ.

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