専門医と家庭医の間

最近,”専門医”に対する風当たりが強いのは,メディカル二条河原の中だけではない.メディアの記事や番組でも,地域医療や在宅診療を取り上げたものが目立つようになっている.そういった流れの中で,いわゆる”専門医”の中でも,専門医であることに飽き足らず,あるいは,必要に迫られて,家庭医,総合診療医に商売替えしたいと思っている連中が増えてきている.

古典的なケースは,それまで,病院のような組織で”専門医”として商売してきた医者が開業する場合だ.実は,専門医の中でも,家庭医,総合診療医に対して,あこがれと劣等感を持っている人々は多い.専門性がない,何でも屋,振り分け屋と,たとえ表向きは軽蔑口調を装っても,その口調とは裏腹に,在宅診療で生き生きやっている開業医を見て,ひそかに憧れる専門医もいる.開業ばかりではない.たとえ勤務医であっても,若い人を専門医としてどんどん伸ばすためには,年を食った専門医は,より一般的な診療を行う立場に立たされる.

このようにして専門を離れる専門医を歓迎しない家庭医はいないだろう,昔は家庭医を悪く言っていたのにと,臍を曲げて意地悪をするような家庭医はいない,巷に溢れる”専門医”の多くが家庭医になれば,日本の医療の質がもっと高く,同時にもっと費用対効果が良くなることを,家庭医の多くは知っている,そういう考えを,家庭医の間ばかりでなく,医療サービスに関わる全ての人々,役人,そして一般市民の間に広げることの大切さも,家庭医の多くは知っている,

今,必要なのは,実績を示すことだ.臓器別専門医との関係で言えば,専門医にも,円滑に家庭医仲間になってもらうためにはどうしたらいいか.そのための窓口は,どこがいいかだろう.臓器別専門医に対して,総合診療や家庭医の再教育が行われるのは,診療現場しかありえないとしても,学ぶ伝手はどうしらいいのだろうか.学ぶネットワークをどうやって構築したらいいだろうか.学会や大学もは,地場産業としての医療サービスを学ぶのに,有効だろうか? もっと気軽に参加できる集まりはないのだろうか.

某MLと言っても,すぐに”あれだ”とわかるようになってしまった著明MLの果たす役割は今後もますます重要になってくる.

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