グラスゴーと聞いてあなたは何を思い浮べるだろうか.たしか英国の都市だったと思うが.これが平均的な所だろうか.英国北部の都市で産業革命で栄えた工業都市だ,なんて答えられる人は受験勉強の亡霊に今でも悩まされている人である.
英国内の旅行先でイングランド人とたまたま話をすることがよくあった.あんたどこに住んでいるんだという質問が出る.それに対して”グラスゴー”と答えると,多くのイングランド人はニヤッと笑い,必ずと言ってよいほど次の3つのうちの質問いずれかを浴びせる.
あなたはグラスゴーが好きか?
あなたはグラスゴーに慣れたか?
あなたはグラスゴーの言葉がわかるか?
これらの質問のうち一つでもイエスで答えようものなら,冒頭のニヤッはたちまち大笑いに変る.この日本人は何と物好きな奴なんだ,というわけである.
あるイングランド人は,グラスゴーの評判を,”奇妙な名声”という,婉曲な言い回しを使って表現したが,ほとんどのイングランド人にとって,グラスゴーは野蛮,下品,粗野,野卑を足して4倍にした位の所である.事実,80年代初頭まではパブに女性が出入り出来なかったという程,気の荒い町だったそうだ.そしてグラスゴー訛はイングランド人にとって,ギリシャ語と同じくらいちんぷんかんぷんである.
グラスゴーは英国第3の都市で,人口がエジンバラの倍なのに,エジンバラがスコットランドの首都なのには,このように充分な理由があるのだ.