格上げ

患者様はお客様,お客様は神様.しかし,お客様扱いされた時は,気をつけた方がいい.神様を通り越して仏様に格上げされかねないからだ.

お客様は,金を払ってくれるから,お客様扱いされる.金が払えなくなれば,はいさようならが浮世の常.

今は,ほとんどの診療行為には保険が利く.でも小泉某,宮内某,飯田某が盛んにわめく”混合診療”では,治療メニューに”松竹梅”が混合される.

現行の国民皆保険制度の下では,あなたが病気になったら,松だか竹だか梅だか知らないけれど,とにかく,医者が最良を思われる治療を患者と相談して決める.その時,医者が相談するのは,あなたに相談するのであって,あなたの懐具合と相談するのではない.

しかし,混合診療下では,全く事情が異なってくる.病気の治療中に,保険の利く治療だけが行われるわけではない.その結果,あなたの財布はウルトラマンのカラータイマーのように点滅を繰り返す.そして,医者がやってくる.”まだ回復がはかばかしくありません.このまま放置しますと,命が危なくなるかもしれません.こういう時,いいお薬があるのですが,一つ問題があります.他でもありません.値段が高いのです”といって,お客様に梅定食のおいしさを説く.梅定食を食べてもらえるかどうかは,あなたの懐具合にかかっている.

これが昼の定食だったら,今日は懐が寂しいからと,ざるそばで済ますこともできるだろう.でも,自分の命がかかっている時,誰だってゲームオーバーは嫌だから,そう言われれば借金してでも,梅定食を注文する.目出度く退院しても借金を背負って働かなくてはならず,それでまた体を壊して,また入院.

そんなことにならないように,保険が利かない最新治療もカバーする,わが社の保険にあらかじめ入っておきましょうね,とご親切にご助言してくださるのが,混合診療を推進する保険会社の社長さんというわけだ.

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