恐竜が滅びた理由はわからないが

98年4月1日から,他のプロバイダや専用線接続経由でニフティに乗り入れる場合に,月1200円の定額でニフティのフォーラムが使えるようになった.同社によると、かつては入会理由のトップだった「フォーラムの充実」が現在は下位に落ちているが、「過去10年間のコミュニティー資産は大きい」として、コンテンツのみの固定料金を導入し、今後はコンテンツプロバイダーへシフトしていきたいんだそうな.

ニフティが,ただのプロバイダとして生き残る以外の道を模索して(正確に言うとあがいて)いる様子がよくわかる.インターネットの接続料金がここまで下がってきた現在,ニフティのコンテンツの中で,チケットの予約とか,ショッピングとかはもう見向きもされない.データ検索なんかも,文字コマンドを入れてやるような暇なやつはもういない.

今どき,GO SFLOWERなんて打ち込んで日比谷花壇に花を注文するバカはいない.WWW上でどこかの花屋に注文するに決まってる.電子書店パピレスに行くのだって,GO PAPYなんてキーをたたく暇人もいない.
http://www.papy.co.jp/n/
をブックマークしておけばそれでおしまい.

売り物として残るはフォーラムで,インターネットでは見つけられないような隙間情報がほしい時にアクセスするだけとなるわけだ.そういうユーザーのための固定料金なのだろう

しかし,この「過去10年間のコミュニティー資産は大きい」という仮説がいつまでもつのだろうか.これまで蓄積された資産の価値はネットの発達でどんどん陳腐化していく.一方,新しい資産はかつてのようにニフティだけに集中せずに,インターネットというブラックホールの中に雲散霧消していく.

おまけにHypeRoad経由でPPP接続すれば,あのいまいましいニフティマネジャー(こいつに煮え湯を飲まされた経験のある人は多いだろう.ちなみに私は持ってさえいない)を使わずに,いつものネットスケープやユードラを使えるのだ.ニフティのコンテンツなんて,もうどうでもいい.ただのプロバイダとして普通にやってもらえばそれで十分.

恐竜が滅びた理由は今もってわからないが,ニフティの運命はそれよりも明らかなように思える.

ルビコン川の向こうへ