二木 立(にき りゅう)語録

下記の二木先生のお話を通読すると,落合陽一・古市憲寿の言説,長谷川某による透析患者に対する誹謗中傷,医療費亡国論,重病人や年寄りは「生産性がない」から早く死ねと いった主張は,いずれも,現代社会に脈々と息づく「優生思想」の表出に他ならないことがわかる.そして,太平洋の向こう側にある超大国で,国民皆保険が決して受け入れられないのも,(やれLGBTだ多様性だと言いながら)この優生思想とそれに基づく医療費亡国論を多くの市民が受けいているからに他ならないことも.
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1. トンデモ数字に振り回されるな 繰り返される「終末期医療が医療費を圧迫」という議論
私が連載している媒体からもこの論争について寄稿の依頼がありましたが、あまりにも下品で、エビデンスに基づいていないから論評する価値もないと断りました。今回、致命的なのは、明らかな事実誤認があったことです。この論争がずっと続くなら批判も考えますが、収束するのではないかと言っていたら、ほぼ終了しましたね。

姑息な言い換えをこっそりしたのが「文學界」編集部なのか、落合さんなのかは知りませんが、どちらの場合も、言論人失格と思います。

高額医療費が医療保険や財政を破綻させるという主張は1950年代から繰り返されています。また終末期医療が医療費を圧迫するという言説も、1997年に広井良典氏らがまとめた『「福祉のターミナルケア」に関する事業報告書』から繰り返されており、特に、珍しいものではありません。

池田コメント:落合陽一,古市憲寿の言説は,長谷川某による透析患者に対する誹謗中傷と何ら変わるところがなかった

2. 国民皆保険の維持は日本社会の一体感を守る最後の砦 貧富の差で医療に差をつけるべきではない
社会保障費水準というのは、対GDP(国内総生産)比で見るのが医療経済学の常識ですが、これが今後、急増しないことは、政府の公式推計でも確認されています。健康保険の保険料の見通しでいうと、協会けんぽの負担が今は10%なのが2040年に11.5〜11.8%になるんだよ、と言っているわけです。ポイントでいうと、2ポイント増えるということです。この問題で大事なのは、社会保障費を誰が負担するかは別として、日本社会として負担できないレベルの増加かということです。

今の世の中で、自民党から共産党まで唯一の合意があるのは国民皆保険の維持だけですよ。だから国民皆保険を解体したり、あるいは混合診療を全面解禁したりして、貧富の差で受けられる医療が変わったら、日本社会は底抜けしてしまいます。

「結核医療費」と「透析医療費」の二つの疾患の歴史を踏まえれば、オプジーボなどの高額医薬品の費用も、医療政策としてはコントロールが可能なのだと予測できます。

池田コメント:上記にもあるように,1950年代から繰り返されている,「高額医療費が国を滅ぼす」という主張は,世界終末妄想と同様に,どこの国でもいつの時代でも,元手がかからず記事が売れる,しかも吹いた張本人は決して責められるのことの無い,定番の法螺話である.

3. 健康は義務ではない 「予防医療」を医療費抑制の道具にするな
『健康寿命』という概念は、認知症や重度の障害者、病気を持っている「健康ではない個人」の生存権を侵害する危険があります.
健康は義務ではないんです。権利です。健康は義務だという考え方はナチズムと通じるものがあります。

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