コンパニオンとの別離

一つのCDxで一つのバイオマーカーを検出するような牧歌的な時代は、もう終わった。NGSとliquid biospyは現在の「生化学検査一式」と同じセットメニューになる。コンパニオン診断がBUN/Crと同様に日常の臨床検査となれば、抗がん剤に対する耐性獲得のチェックも耐性菌の検出と同様のレベルまでに容易になり、新規抗がん剤の開発は抗菌薬の開発と同様のスピードで展開されるようになる。一つの抗がん剤に対して特異的に寄り添うコンパニオン診断薬。そんな「理想の夫婦」の時代は、もう終わったのだ。
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米FMI社の遺伝子解析システム、中外が日本で承認申請 日刊薬業2018/3/16 18:40
 中外製薬とスイス・ロシュは16日、米ファウンデーション・メディシン社(FMI)が手掛ける製品の日本での独占的商業化権でサブライセンス契約を締結したと発表した。その第1弾として、FMI社の次世代シーケンサーによる網羅的がん関連遺伝子解析システム「FoundationOne
CDx」(米国販売名)について、中外が国内での製造販売承認申請を行った。
 FMI社とのサブライセンス契約は、FMIがすでに販売あるいは開発を進めている製品の国内導入に関するもの。中外は、今後のFMI社製品の国内での開発スケジュールは明らかにしていない。
 FoundationOne CDxは、患者の固形がん組織から得たDNAを使い、遺伝子の欠失、コピー数の異常、遺伝子融合などの変異検出のほか、マイクロサテライト不安定性(MSI)や腫瘍の遺伝子変異量といったゲノム・バイオマーカーを検出する。国内ですでに承認を得ている分子標的薬のコンパニオン診断として、適応判定補助での使用も予定している。
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国がん 消化器・腹部悪性腫瘍患者対象にリキッドバイオプシーの臨床試験開始 ミクスオンライン 2018/03/15
https://www.mixonline.jp/Article/tabid/55/artid/60626/Default.aspx

 国立がん研究センターは3月13日、消化器・腹部悪性腫瘍の患者を対象にリキッドバイオプシーに関する臨床研究を開始したと発表した。73種類の遺伝子異常を早期に解析するとともに、患者への負担が軽減されるとしている。すでに200人の大腸がん患者を対象に解析をスタートしており、1年半をめどに、胃がんや食道がんなども含めて2000人規模に対象を拡大する考え。研究を通じて、リキッドバイオプシーの有用性が確認されれば、低侵襲で正確な個別化医療を実現することが期待される。
 遺伝子変異に基づいた治療法を選択する上で、腫瘍組織の生検は欠かせない。ただ、生検は、侵襲が大きく、特に複数箇所の生検では、患者へのリスクが大きいことなどが課題だった。しかし、少量の血液を用いるリキッドバイオプシーでは、血中を循環する腫瘍DNAの断片を、低侵襲で正確に解析できる。研究では、消化器がんの患者の血液20mlを用いて、RAS、BRAF、PIK3CAなど、遺伝子異常の有無を調べる。同センターによると、解析の結果は約2週間で判明する。
 研究は、国立がん研究センターを中心に、全国の医療機関、製薬企業と協力して実施するがんゲノムスクリーニング事業「SCRUM-Japan GI-SCREEN」に関連した新たなプロジェクト。現在は、過去に抗EGFR抗体薬による治療を行った大腸がん患者約200人を対象に解析をしている。HER2陽性大腸がんやBRAFV600E変異大腸がんなど、特定の遺伝子異常が見つかった患者は、臨床試験へ参画できる可能性がある。これまで薬剤が効かなかった患者の新たな治療法につながるとして期待が寄せられている。
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