医薬品庁?
そういうレベルの話じゃないだろうに

ある人と医薬品庁の話に話題が及んだ。そのときの私の論点整理が下記

○FDAとPMDAではそもそも仕事のやり方が違う。FDAの人数は生データを全部もらって、それを審査するための人数。一方、PMDAは企業に助けてもらって、企業と分業体制を取っている。

○審査期間総計で、日本側が長くなっているのは、企業のタイムクロック分であって、審査側のタイムクロックは日米差がない。上記スキームを考えればそれも納得できるだろう。それでもPMDAの仕事は膨大だから、FDAの1/10の人数でタイムクロックに差がないというのは、Kamikaze mission以外の何物でもない。

○そもそも、仕事のやり方が違うのだから、FDAと比べて人数云々というのはナンセンス

○FDAと比べて人数云々という理屈は、PMDA審査員過労死リスクの議論を相対的に隠蔽してしまう

○だから、深夜のタクシーの中でのちょっと一杯だけが唯一の息抜きの時間になるような人間否定の職場から、社員が安心して楽しく仕事ができるような職場にするために、どうやって人材を確保するかという議論をすべきなのであって、FDAと比べて人数云々という議論では、誰も幸せになれない。

○FDAと比べて人数云々という議論で、数値目標としての員数確保した結果、その弊害が、すでに明らかになっている。
第一に、ステークホルダー達からの時期尚早なサービス増大要求を、すでに直ぐに受け入れざるを得ないような状況になっている。たとえば、2008年8月からの、治験相談全面受け入れがそれ。治験相談と審査が同一メンバーで行われるのが日本のFDAの利点だから、治験相談の過大な負担はすぐさま審査の遅延となって表出するのは目に見えているのに。
第一の問題とも関連するが、第二に、教育、人材育成が間に合わない。人数が増えてからしばらくは、教育に時間と手間を取られるから、かえって仕事の効率は低下するのだよ。

医学部定員を増やしたその年から、医療サービスが改善するなんて誰も思わない。日本国民の皆様もそのぐらいのリテラシーはお持ちのはずだが、PMDAのステークホルダー達はそんなリテラシーさえないようだね。

審査センター発足から10年。その後の3年間で人数を236人増やすという計画が始まったばかりの段階で、製薬企業側も、PMDA側もこのような未熟な状態である。

ましてや、日本にFDAをとか、医薬品庁とか喚いている政治家連中も、その尻馬に乗ってここぞとばかり権益拡大を図ろうとする人々も、自分はこんなに能天気ですと宣伝しているとしか思えない。

参考:医薬品庁?その2

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