五十肩もまた怒りである

痛みとは何か?を考えさせてくれる臨床試験である。腰痛は怒りであると の説がある。その説をまんざらではないと思う私は、五十肩に悩まされ、五十肩もまた怒りであるとの印象を持っている。

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腰痛へのアセトアミノフェンに効果なし
MTpro 2014/7/28
http://mtpro.medical-tribune.co.jp/mtpronews/1407/1407083.html

オーストラリアの大規模RCT
 オーストラリア・George Institute for Global HealthのChristopher
Williams氏らは,急性腰痛に対するアセトアミノフェン(パラセタモール)投与の有効性を検討する初の大規模ランダム化比較試験(RCT) を実施。同薬は,腰痛から回復するまでの日数,痛みの程度や機能,睡眠の質,QOLの改善のいずれにおいてもプラセボと同程度であったことを Lancet(2014年7月24日オンライン版)で報告した。今回の知見は,腰痛に対する第一選択の鎮痛薬として同薬が広く支持されていること に疑問を呈するもの。

定期的服用,頓服,プラセボで同等
 腰痛は世界的に身体障害の主要原因となっている。欧米の臨床ガイドラインはいずれも,アセトアミノフェンを急性腰痛に対する第一選択の鎮痛薬と して推奨しているが,これまでの研究でその有効性に関して確固たるエビデンスが示されたことはない。
 今回のThe Paracetamol for Low-Back PainStudy(PACE)では,オーストラリア・シドニーのプライマリケア235施設で急性腰痛の新規発症患者1,652例(平均年齢45歳)を① アセトアミノフェン定期的服用群(665mg錠×2錠×3回/日)550例②アセトアミノフェン頓服群(プラセボの定期服用と500mg錠1日最 大8錠まで)549例③プラセボ群553例-の3群に二重盲検式でランダム化して割り付け,腰痛から回復するまで,もしくは4週間治療した。ま た,全群に対しガイドラインに基づき床上安静を避けて活動的に過ごすようアドバイスし,急性腰痛の予後は良好であることを説明して安心させ,3カ 月追跡した。1次評価項目は腰痛からの回復日数で,0~10の痛みスコアにおけるスコア0もしくは1の7日間持続を「回復」と定義した。全ての データをintentionto treat(ITT)方式で解析した。
 腰痛から回復するまでの日数の中央値は,定期的服用群17日〔95%CI14~19日〕,頓服群17日(同15~20日),プラセボ群16日 (同14~20日)で,定期的服用群に対するプラセボ群のハザード比(HR)は0.99(95%CI 0.87~1.14),頓服群に対するプラセボ群のHRは1.05(同0.92~1.19),定期的服用群に対する頓服群のHRは1.05(同 0.92~1.20)で,3群間で差は認められなかった(調整後のP=0.79)。

アドバイスと不安の払拭が奏効?
 定期的服用錠剤(2錠×3回/日)の服用アドヒアランス(実際の服用錠剤数の中央値)は,定期的服用群が4.0錠(IQR1.6~5.7錠), 頓服群が3.9錠(同1.5~5.6錠),プラセボ群が4.0錠(同1.5~5.7錠)であった。短期の痛みの程度,障害,機能,睡眠の 質,QOLに対してもアセトアミノフェンの影響は認められなかった。有害事象が認められた患者は,定期的服用群が99例(18.5%),頓服群が 99例(18.7%),プラセボ群が98例(18.5%)で,3群で同等であった。
 筆頭研究者のWilliams氏は「アセトアミノフェンのような単一成分の鎮痛薬は,急性腰痛の管理において最重要ではないかもしれない。今回 の知見は,腰痛の第一選択としてアセトアミノフェンの汎用を推奨することに対し,再考の必要性を示唆しているが,アセトアミノフェンが他の痛みに 対して作用するのに腰痛には作用しない理由を解明することは将来の治療の指針となるであろう」と指摘。「今回の患者群は,他の研究の患者群と比べ 短期間で改善しており,急性腰痛に対し(今回の試験で提供したような)アドバイスと不安の払拭が薬剤治療よりも有効であるか否かを検討することは 興味深い」と付け加えている。
 オランダ・Erasmus Medical CenterのBart KoesとWendy Enthovenの両氏は,Lancetの付随論評(2014年7月24日オンライン版)で「Williams氏らが,これほど長期にわたり議論もエビデ ンスも存在しなかった研究テーマに取り組んだことは称賛に値する。この質の高い試験における知見は明白だが,ガイドラインの内容は単一の試験に基 づいて変更されるべきではない。今回の知見の他の患者群における検証を含め,より確実で一貫性のあるエビデンスが必要である」と指摘し,「さら に,急性腰痛の予後の説明とアドバイスに,他の単一成分鎮痛薬を併用して,追加の便益が得られるか否かを検討することは大いに歓迎される」と付け 加えている。
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