乳児死亡率の謎

しばしばその国の医療水準を表す指標として使われる乳児死亡率だが、実は国民皆保険制度が整備されている高所得国の間で大きな差がある。直近(2016年)のデータ(当年の出生数千人当たりの乳児死亡数)は下記のようになっている。

カナダ4.3、UK3.7、デンマーク3.7、スイス3.6、フランス3.2、オランダ3.2、ドイツ3.2、ギリシャ3.1、オーストラリア3.1、ベラルーシ2.9、韓国2.9、スウェーデン2.4、ノルウェー2.1、日本2.0、ルクセンブルク2.0、フィンランド1.9、スロベニア1.8、アイスランド1.6

デンマークの乳児死亡率が、なぜフィンランドの2倍近くも高いのか?ギリシャのデータは乳児死亡率は経済危機とは無縁ということを示しているのか?こういった素朴な疑問に対して、誰一人として合理的な説明はできないでいる。
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スウェーデンよりイングランド小児がより死ぬのは主に有害な出産特徴による BioTodayニュースレター 2018年5月7日
英国イングランド新生児の生後1か月間、生後1か月~1年、生後1年~4年の死亡率はスウェーデンよりそれぞれ1.66倍、1.59倍、1.27倍高く、その増分の多くは不良な出産特徴(出生時体重、妊娠期間、先天異常の有無)によることが示されました。高所得国でも小児死亡率の改善の余地があることを今回の試験は明確に示していますが、小児の最適な健康や発育と関連する指標の更なる研究が必要と論評者は言っています。
Reducing child mortality in high-income countries: where to from here?. Lancet. Published: 03 May 2018
Child mortality in England compared with Sweden: a birth cohort study. Lancet. Published: 03 May 2018
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