司法過疎が生んだ氷見事件

自分が犯人にされてしまった,強姦・強姦未遂事件という二つの事件で,富山地方裁判所高岡支部で裁判が始まり,4回目の公判で,裁判長が判決を言い渡しました.懲役3年,未決勾留日数を百三十日差し引かれて約二年半の実刑です.最後に裁判長が,自分に,「この判決に不服ならば,二週間以内に控訴しなさい」と言いました.自分が拘置所職員に手錠をかけられて出る時に,自分の弁護をするはずの国選弁護士は,あなたは控訴しても無駄だから,おとなしく刑務所に行ってきなさい.真面目にしていたら,すぐに出られるから,ということを言われました.弁護士は,自分の兄や姉と話をして,被害者に示談金を支払ってしまっていましたし,自分としては,やっていないということを言い出すチャンスを失って,刑務所に行くしかないという気持ちになるしかなかったのです.自分で自分の心を殺して,控訴せず,刑務所に行くしかなかったのです.
柳原 浩編 「ごめん」で済むなら警察はいらない 桂書房

DNA鑑定を含む警察の無罪の証拠隠し,そんなでっち上げ捜査を見抜けなかった検察・裁判所のチェック能力欠如,そして上記のような国選弁護人の職務放棄.前世紀型の冤罪の典型です.

参考:司法過疎の実態

法的リテラシー に戻る