ヒスタミンによる食中毒

診療の要点
病態の本質:アレルギー様食中毒→アレルギーとの鑑別が必要(池田注:個別の症状だけでは鑑別は困難なので,複数に同時期に同様の症状が発生すること,原因食物の喫食内容の共通性の病歴が鑑別診断に重要であろう.
原因:ヒスチジンを多く含むマグロ、カジキ、カツオ、サバ、イワシ、サンマ、ブリ、アジなどの赤身魚及びその加工品中に含まれるヒスチジンに,ヒスタミン産生菌(例、Morganella morganii モルガン菌)が作用し、ヒスタミンが生成される
煮ても焼いても食えない:ヒスタミンは熱に安定で、調理加工工程で除去できない.これまでの報告例でも、照り焼きや揚げ物など、加熱済みの献立でも多く起きている。2015年7月に、東京都東久留米市の保育園で発生したヒスタミンによる集団食中毒も、焼いたイワシが原因だった
決して希ではない:全国で年間十数件の事例が発生
経過・治療:多くの場合,食物アレルギーと同様,食後間もなく顔面、特に口唇とその周囲,耳介等が紅潮し、頭痛、じんましんなどが起こる。無治療でも多くの場合には、数時間以内で軽快する.(池田注:ただしアナフィラキシー同様に,気道確保,アドレナリンの投与はいつでもできるようにしておく)

参考サイト
ヒスタミンによる食中毒について(厚労省)
じんましんと青魚の関係:アレルギー様食中毒の話(神奈川県衛生研究所)

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