ガバペンを処方すればいいじゃない!
 Qu'ils prescrivent de la Neurontin!

ICどころかテープレコーダーさえない時代だったのだから, Qu'ils mangent de la brioche!(ブリオッシュを食べればいいじゃない)との発言の主が誰なのかは一切不明である.もちろんマリー・アントワネットが言ったという主張は北陵クリニック事件以上のガセネタである.それに対し,「神経障害性疼痛にはガバペンを処方すればいいじゃない」という方針を打ち出している主が社会保険診療報酬支払基金であることは,全世界に公開されている事実である.

リリカの常用量300mgの薬価は,150mg錠(153.4円)x 2=307円,一方,支払基金が認めているガバペンの1日投与量900mgの薬価は,300mg錠(54.3円)x 3=163円と,ほぼ半値となっている.

ここで注意してもらいたいのは,ガバペン(ガバペンチン)に比べてリリカ(プレガバリン)の方が「高級な薬」であるというわけでは決してないという点だ.それどころか,この二つの薬は,薬理学的にも同一の作用機序を持つ,ACEIとARB以上に似たもの同士であり,ACEIとARBが普通の兄弟ならば,プレガバリンとガバペンチンは二卵性双生児と言える.

『プレガバリンとガバペンチンは、γ-アミノ酪酸 (GABA)と類似の構造をもちますが、GABA受容体に対する作用はありません。そのかわり、神経における電位依存性Ca2+チャネルのα2δサブユ ニットに結合します。その結果、神経内へのCa2+の流入を抑制することで痛みの伝達物質の放出を低下させます.(日本ペインクリニック学会の解説より)』

参考:リリカをしのぐ新薬は現れるか 神経障害性疼痛薬の開発(そんなもの要りません.みんなが待っているのはガパペンの後発品です), 加齢黄斑変性に対するアバスチン

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