電子カルテは誰のため?

BMJが取り上げているのは電子カルテではなくて,本人が所有する個人の健康記録なんでしょうが,まあ,電子カルテも似たようなもんです.

行き倒れになったら,本人からパスワードを聞き出すわけにはいかないし,他の病院へ紹介される時だって,紹介先の医者の質や,照会元と紹介先の医師同士のコミュニケーションの方が,カルテの内容そのものなんかよりも,はるかに命を左右する因子として大切です.結局,自分の病気の記録が電子化されたところで,本人には何の得にもならないのです.電子カルテなんて,患者のためには決してならない.所詮,病院の都合,医者の都合の産物に過ぎないのです.

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NHSの電子健康記録は殆ど受け入れられていない/イングランド
BioToday.com 2010-11-22
http://www.biotoday.com/view.cfm?n=42533
インターネットからアクセスできる個人の電子健康記録・HealthSpaceは英国イングランド住民にあまり受け入れられていないことを示した試験結果が発表されました。
2007年に英国国民医療サービス(National Health Service)に組み込まれたHealthSpaceをイングランドの大部分の人は有用とも使いやすいとも思っていないようです。

 参考文献
 Adoption, non-adoption, and abandonment of a personal electronic
health record: case study of HealthSpace. BMJ 2010; 341:c5814 doi:
10.1136/bmj.c5814 (Published 16 November 2010)
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