業界紙の役割

ヒースローで酔っ払い副操縦士が身柄を拘束された事件は様々なメディアで,相変わらずセンセーショナルな論調で繰り返し報道されました.しかし,下記の記事は全く違っていました.
JAL飲酒副操縦士「酒は飲んでいない。マウスウォッシュだ」 国交省に報告書と防止策提出
進専務のプレゼンのパワーポイントは,他のメディアでも1枚だけちらっと見たような記憶がありますが,これほどしっかりしたプレゼンだったとは知らなんだ.身柄拘束が日本時間で2018年10月29日ですから,土日を除く2週間(いまだ当人の身柄を拘束している空港当局は土日完全休庁のはず)で,このプレゼンです.

それに応えてこの記事.関連リンクも充実していますし,さらに驚いたのは,印刷画面にすると,記事中のリンクURLが末尾に出てくることです.これだけの記事が書ける人材を抱えている株式会社旭技研という会社の概要って・・・

中小企業と見なされるのが資本金1億円,設立1期目と設立2期目は消費税が免除となるのが1000万円未満ですので,1987年設立で資本金1000万円というのは,株式会社としての最低限の体裁というところでしょうか.

それもそのはず,社長さん自身(そして編集長・記者兼任,というか一人で全部の記事を書いているみたいです)が「従業員数3人の零細企業」と淡々と紹介していますが,一方でpage view乞食ではなく,コンテンツ勝負の地道な業界紙として経営していける目途がついたという自信も伺えます.
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(以下引用)Aviation Wireは、いわゆる「インターネットメディア」「ネットメディア」ではありません。通信社と同じく、紙媒体は現時点で発行しておりませんが、スクープや独自視点による特集、速報など、既存の新聞・通信社と同じく、手間と時間を掛けた紙面作りを低コストで実現する「フルサービス・ローコスト・メディア」です。企業からの取材案内や発表資料に依存する受動的な媒体や、テレビや新聞、週刊誌に寄生する媒体とは、まったく異なります。
 一方で、現地取材を重視することが、交通費など取材費用増加につながっています。そして、こうした紙面作りが、広告売上や市場調査報酬などにまだ結びついておらず、安定的な経営基盤を早期に確立するとともに、能力が秀でた人材、取材力に長けた記者の確保を急ぎます。おかげさまで、2017年9月期通期決算では、Aviation Wireの収入が創刊以来初めてマニュアル関連の収入を上回ることができました。
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「良識ある第三者による『フルサービス・ローコスト・メディア』が企業を育てる」という仮説が成り立つならば,「良識ある第三者による『フルサービス・ローコスト・メディア』が医療機関・医療人を育てる」という仮説も検証する意義があるのではないかと思った次第.

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