会長挨拶
第5回日本リンパ浮腫学会総会開催にあたって

第5回日本リンパ浮腫学会総会
会 長 小口 秀紀
トヨタ記念病院 副院長/名古屋大学医学部産婦人科 臨床教授日本リンパ浮腫学会会員の皆様におかれましては、新型コロナウイルス感染拡大の中、感染対策を行いながらリンパ浮腫診療に励んでおられることと思います。このたび2022年3月11日(金)、12日(土)の2日間、ウインクあいち(愛知県産業労働センター、名古屋市中村区名駅)において第5回日本リンパ浮腫学会総会を開催させていただくこととなりました。3年ぶりの現地開催に向けて準備して参りましたが、新型コロナウイルス感染はいまだ終息することがなく、感染対策を十分に行いながらWeb併用の現地開催+オンデマンド配信として開催することとなりました。
第5回総会のテーマは「リンパ浮腫診療の標準化と新規治療への挑戦」と題し、リンパ浮腫学におけるエビデンスの構築に向けた基礎研究と臨床研究を紹介するとともに(ワークショップ1)、リンパ浮腫診療の標準化に向けた取り組みと今後の課題を見える化し、今後のリンパ浮腫診療の方向性を示せるような総会を目指しました。複合的治療についてはシンポジウム1で、チーム医療についてはシンポジウム2で議論し、現状でのコンセンサスを確立したいと思っています。リンパ浮腫の画像診断の進歩については特別講演で最新の知見を紹介したいと思っています。画像診断によりリンパ浮腫を個別化して実施する外科的治療についての最新の知見はパネルディスカッションで議論を行い、現状でのコンセンサスと外科的治療を考慮するタイミングについて打ち出せればと思っています。婦人科悪性腫瘍治療後の下肢リンパ浮腫については、2つの学術セミナーで骨盤リンパ節郭清の意義を再検証することで、リンパ浮腫発症のリスクを考慮して患者自身による治療選択ができないかを議論できればと思っています。ワークショップ2では今まであまり実施されていなかったがん緩和ケアにおける悪性リンパ浮腫についての現状と課題について議論する予定です。本学会資格認定制度の単位取得対象の教育セミナーはリンパ浮腫の運動療法についての講演を予定しています。このほか興味深い12の一般演題についても活発な議論を期待しています。
本学会は多職種による学会であり、多くの叡智を結集できる総会です。Web併用とはなりますが、活発な討議のもとに、標準化に向けて学会としてのコンセンサスの確立と標準化への課題克服に向けた学会の方向性が見いだせればと思っています。また、医療従事者にとっては、企業の新製品に接するよい機会であり、企業にとっては、製品開発における医療従事者によるフィードバックを受けるよい機会となっていますので、是非企業展示にお立ち寄りいただければと思います。本総会が皆様の日々の診療のお役に立てることを祈念致しますとともに、ひとりでも多くの皆様のご来名、ご参加を心よりお待ちしています。