大会長挨拶

吉橋 博史大会長

第47回日本小児遺伝学会学術集会

大会長吉橋 博史

(地方独立行政法人 東京都立病院機構 東京都立小児総合医療センター遺伝診療部 臨床遺伝科 部長)

このたび、日本小児遺伝学会、第47回学術集会を担当させていただくことになりました。
学会員、参加者のみなさまのご支援のもと、遺伝医療を通じて、多様なこどもと家族のウェルビーイングを考える、学術集会をめざしています。

ゲノム解析技術の進歩やデータベースの充実は、様々な先天異常症候群、遺伝性疾患において診断率の向上をもたらし、多くの診療領域でゲノム情報を利用した医療が広がりをみせています。疾患と向き合い、よく理解し、健康や生活の見通しを立て、治療法や検査計画を選択する場面において、遺伝学的検査の臨床実装は進展しています。新しい治療法の開発をめざす研究、こどもの成長に合わせた移行医療の支援、疾患を受け継ぐ可能性や次世代への影響を考える場面など、多診療科、多職種とのつながりや接点は増えており、折々の遺伝カウンセリングの重要性も高まっています。多様なこどもと家族が、その人らしい生活を実現するための情報については、暮らしと社会の実際をよく知る皆さんと連携を深めておくことも大切です。

今回の学術集会のテーマは、「紡ぐゲノム医療 〜多様なこどもと家族のウェルビーイングをめざして〜」としました。「紡ぐゲノム医療」には、こどものゲノム医療において、かけがいのない存在である医療者・研究者ひとり一人が、責任を伴う役割を担い、専門性高く協働することで、ゲノム医療がより強固に束ねられ、こどもと家族の希望につながるように、という願いを込めました。多様なこどもと家族にとって、持続する幸福感(ウェルビーイング)につながる小児遺伝医療の役割とは何か、お互いの立場を尊重して、自由闊達な討論、情報交換を深めていただけたらと思います。

学術集会では、一般演題・ポスター発表、教育講演、シンポジウム、セミナー等を企画し、第41回Dysmorphologyの夕べを共催します。東京湾を臨むウォーターフロントに位置する浜松町で、2つの口演会場と広々としたポスター発表会場をワンフロアーに配して開催します。交流と親睦を深め、人と人がつながる機会をつくることも、「紡ぐゲノム医療」の大切なテーマのひとつと考えます。こどもの遺伝医療を支えている/支えていきたい、という想いを熱く語らうことのできる会場にて、お会いできることを楽しみにしています。

多くの皆さまからの演題のご応募、会場へのご参加を心よりお待ちしております。