「悪性腺腫の病理診断―問題点と対応についてー」

       防衛医科大学校第2病理 助教授 津田 均

    子宮頸部悪性腺腫は正常の頚管腺と区別がつかないほど
    高分化な組織像を示す。その反面悪性度が高い特殊な腺癌
    とされている。近年、悪性腺腫と同様に正常の頚管腺と区
    別が付かないが予後も良い病変が多数見つかるようになり、
    このような病変を過形成と呼ぶべきという意見も多くなっ
    てきた。しかし悪性腺腫、過形成をどのような診断基準で
    鑑別するかについては、診断現場でのコンセンサスは得ら
    れていないのが現状と思われる。そこで悪性腺腫、過形成
    診断の現状を調べる目的で、婦人科腫瘍を専門としている
    4名の病理医の間で
52症例の頚管腺増殖性病変の診断の一
    致がどの程度得られるかを検討した。結果は一致した症例
    は
13例にすぎず、不一致が目立った。その原因について考
    察し、悪性腺腫診断が適切に行われるために今後必要なこ
    とについて論じてみたい。