2026年度受賞論文
優秀論文賞
原著「オーダリングシステムによる人工呼吸器離脱プロトコルの有用性の検討」
真 昌美 氏
岸和田徳洲会病院 臨床工学科
42巻2号 p.178-184掲載
採択日::2025年7月8日
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受賞の言葉
このたびは、私たちの論文に賞をいただき、誠にありがとうございます。本研究は、人工呼吸器離脱プロトコルの有用性を検討したものです。
私は日本での臨床経験がないまま渡米し、アメリカで呼吸療法を学びました。帰国後に臨床現場に携わるなかで、その違いに大きな驚きを感じました。当院では離脱プロトコルが整備されておらず、呼吸サポート委員会でプロトコルを作成した後も遵守率が低く、カルテ記載の統一も十分ではない状況でした。そこで環境整備の一環としてオーダリングシステムでSAT、SBTの指示が出せるようなシステム環境を作り、プロトコルの可視化と運用の標準化に取り組みました。プロトコルの有用性に関するエビデンスは多くありますが、その運用を定着させ継続することは容易ではありません。本研究には新奇性はありませんが、運用方法改善の余地はまだあると考えています。
本研究を進めるにあたり、多くの先生方にご指導・ご助言をいただきましたこと、心より感謝申し上げます。本受賞を励みに、今後も研究を継続し、医療の質の向上に貢献できるよう努めてまいります。
奨励論文賞
原著「新型コロナウイルス感染症患者に使用された医療機器に関するインシデントおよびアクシデント事例の解析」
輪内 敬三 氏
帝京大学福岡医療技術学部 医療技術学科
42巻2号 p.159-169掲載
採択日:2025年6月19日
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受賞の言葉
このたびは、症例論文賞という大変光栄な賞を賜り、誠にありがとうございます。本論文では、COVID-19患者に使用された人工呼吸器、ECMO、生体情報モニタなどに関するインシデントおよびアクシデント事例を全国規模の公開データから解析し、パンデミック下における医療機器安全管理上の課題を検討いたしました。現在、COVID-19は当初のような社会的緊張の中心ではな2025年6月19日くなりつつある一方で、国内では引き続き発生状況の定点把握が継続され、WHOも世界的には活動性がおおむね低位で安定しているものの、監視の継続が重要であることを示しております。そのような今だからこそ、当時の経験を一過性のものとして終わらせず、医療機器の安全な運用体制をあらためて見直し、次の感染症危機にもつながる知見として残していくことが重要であると考えております。
今回の受賞は、私一人の力によるものではなく、ご指導くださった先生方、共同研究者の皆様、そして日々現場で尽力されてきた医療従事者の方々のお力添えによるものです。心より感謝申し上げます。今後も慢心することなく、臨床に還元できる研究を積み重ねてまいります。
原著「カテーテルマウント内の結露の存在は相対湿度100%を示す決定的な指標ではない」
小髙 勇士 氏
神戸大学医学部附属病院 臨床工学部
42巻2号 p.185-190掲載
採択日:2025年9月24日
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受賞の言葉
このたびは奨励論文賞という栄誉ある賞を賜り、大変光栄に存じます。
本研究では、カテーテルマウント内の結露視認に基づく湿度評価手法を再検討し、結露の存在が必ずしも相対湿度100%を示すものではないことを実験的に示しました。本結果は、人工呼吸管理における湿度評価の再定義を促すものであり、定量的評価の重要性を示唆するものと考えております。
本研究の成果は、加湿評価の精度向上や関連医療機器の開発に寄与するものであり、現在は臨床ニーズと工学技術を結びつけた医療機器創出を目指しております。本受賞を励みとして、今後も臨床に根ざした研究と社会実装を推進してまいります。本研究の遂行にあたり、ご指導・ご協力いただいた皆様に深く感謝申し上げます。