人工呼吸器安全使用のための指針

日本呼吸療法医学会
人工呼吸安全管理対策委員会

はじめに

昨今、呼吸不全の治療と救命が目的である人工呼吸療法において、数々の医療事故が報道されていることは憂慮に堪えない。人工呼吸療法が致死的な合併症を伴う危険性は関係者に十分認識されているにもかかわらず、医療事故が多発する原因として安全対策の不備を一因として挙げざるを得ない。
日本呼吸療法医学会は、人工呼吸療法に関係する医療事故多発の事態を重く受け止め、「無事故」の実現を本学会の急務とし、以下の実践的な安全使用のための指針をまとめた。

【Ⅰ】医療機関における人工呼吸安全管理体制

人工呼吸療法の安全性を高めるためには、各医療機関で下記3点の実現が望まれる。
  1. 人工呼吸安全対策委員会の設置人工呼吸療法に関与する施設管理者、医師、看護婦、臨床工学技士などで構成する委員会を設置し、安全対策を講じること。
  2. 人工呼吸器管理専門技術者の設置人工呼吸器整備に携わる専門技術者として臨床工学技士を置き、現場における日常の安全管理を計ること。
  3. 教育システムの整備人工呼吸器に直接関わる医師、看護婦、臨床工学技士に対する取り扱い教育、安全管理教育を系統的かつ定期的に実施すること。

【Ⅱ】人工呼吸器の使用に際しての安全管理

  1. 人工呼吸療法を施行する部署
    人工呼吸器を安全に使用するには、その環境を充実させることが重要である。そのためには下記の諸点の整備が望まれる。
    1. (1)人工呼吸療法を施行する部署は、看護婦による連続的な患者の生体情報監視が可能で、かつ急変事態に直ちに対処できる集中治療施設あるいはそれに準ずる施設であること。
    2. (2)一般病室で人工呼吸療法(慢性呼吸不全患者などの対象患者)を施行する場合には以下の条件を満たすこと。
      1. (ⅰ)適切な警報装置を備えている人工呼吸器を使用すること。
      2. (ⅱ)心電図、呼吸数、パルスオキシメータによる経皮的酸素飽和度、呼気二酸化炭素濃度が連続的にモニターできること。
      3. (ⅲ)人工呼吸器の警報、モニタリング情報がナースステーション等でも監視できること。
      4. (ⅳ)当該病室と担当看護婦間に即応できる緊急連絡の手段が講じられていること。
      5. (ⅴ)当該病室には即座に使用できる状態で蘇生用具(用手人工呼吸用器材、気管内挿管用器材、蘇生用薬剤)が常備されていること。
    3. (3)人工呼吸器の電源として、無停電電源が使用できること。
    4. (4)送電停止時でも空気及び酸素が供給できること。
  2. 人工呼吸器の種類
    使用上の安全を確保するための基本条件を満たす機種が望ましい。
    1. (1)自発呼吸が低下した場合、自動的に強制換気ができる人工呼吸器であること。
    2. (2)複数の人工呼吸器を使用する場合には、誤操作を軽減する目的と保守管理の見地からできる限り機種の統一を計ること。
  3. 人工呼吸器の操作・点検
    人工呼吸器を使用する医療従事者は、人工呼吸器の機能を理解し正しい操作法を習熟しなければならない。加えて人工呼吸器の点検にも習熟することがまれる。標準的な点検表を参考資料に揚げた。
    1. (1)使用説明書にしたがった定期点検(参考資料①)が行えること。
    2. (2)機能点検(参考資料②)、使用前点検(参考資料③)、使用開始時点検(参考資料④)、施行中の点検(参考資料⑤)及び使用後点検(参考資料⑦の点検が行えること。
    3. (3)人工呼吸器ごとに点検表を備え、点検のたびに必要事項を記入すること。
  4. 人工呼吸器回路の組み立てと交換
    人工呼吸器回路(以下、呼吸回路)はトラブルが多発する部位であるため、下記の特別な配慮が望まれる。
    1. (1)呼吸回路の組み立ては、使用説明書に従って正確を期すこと。
    2. (2)呼吸回路の組み立ては、構造と機能を理解している者が担当すること。
    3. (3)呼吸回路を組み立てた者は、機能点検表(参考資料②)に従いテスト肺を用いて動作の適正さを確認すること。結果は点検表に記載すること。
    4. (4)呼吸回路交換の間隔は、呼吸回路が汚染されない限り、一週間程度とすること1)。
    5. (5)呼吸回路交換後にも、迅速呼吸回路交換点検表(参考資料⑥)に従いテスト肺を用いて動作状態の確認を行うこと。結果は、点検表に記載すること。
  5. 人工呼吸器の接続と離脱に関して
    人工呼吸器の脱着時には、一定時間にわたって、設定通りの換気が得られることや、患者を観察することを習慣づけることを含め、下記の実施が望ましい。
    1. (1)接続実施者が、呼吸回路組み立て実施者と異なる場合には、使用前点検表を確認するとともに、再度、テスト肺を用いて作動状況を確認すること(参考資料③)。
    2. (2)看護婦が実施する場合は、医師記載の指示簿の指示に従い、実施内容は看護診療録に記載すること。
  6. 人工呼吸器の初期条件設定とその変更
    人工呼吸器の換気条件設定は、複数のダイアル、ボタン操作が必要であり、項目によっては他の設定値の影響を受ける機種もある。確認漏れを防ぐため下記の方法で実施することが望ましい。
    1. (1)換気様式、吸入酸素濃度、一回換気量、呼吸数、PEEP値、吸気・呼気時間などの初期条件設定およびその変更については、担当医師が設定値を決定し、指示簿に記載し、実行後に確認してその実施内容を診療録に記載すること(参考資料④)。
    2. (2)看護婦が人工呼吸器の条件設定およびその変更を実施する場合には指示簿に従い行う。実施者は実施内容を診療録に記載すること。
    3. (3)初期条件の設定および設定条件の変更は、文書化されたClinical Practice Guidelineに従うこと2)。
  7. 人工呼吸施行中の人工呼吸器の点検
    人工呼吸施行中は人工呼吸器の点検を毎日必要に応じて実施することが望ましい(参考資料⑤)。
    1. (1)電源コード・プラグ、酸素および空気のチューブ・アッセンブリの接続を点検すること。
    2. (2)呼吸回路の水貯留を点検すること。
    3. (3)加温加湿器チャンバーの水量レベルを点検すること。
    4. (4)フィルターの汚染の有無を点検すること。
    5. (5)換気様式、吸入酸素濃度、一回換気量、呼吸数、PEEP値、吸気・呼気時間などが指示通り設定され、作動していることを確認すること。
    6. (6)換気量、気道内圧、換気回数、吸入酸素濃度などの警報装置の設定を確認すること。
    7. (7)装置本体から異常音の有無を点検すること。
  8. 加湿器とネブライザー
    加湿器は、加温加湿器と人工鼻の2種類があるが、いずれも連続使用によって不都合が生じたり、人為的エラーが発生する危険性がある。下記の諸点の点検が望まれる。
    1. (1)チャンバー式加温加湿器は、回路を開放することなく蒸留水の補充を行える器種であること3)。なお、加温加湿器チャンバーの交換は、1週間程度とすること4)
    2. (2)チャンバーの蒸留水補充時の手順、安全チェックは、マニュアルを作成し標準化すること。
    3. (3)人工鼻の使用手順、安全チェックは、マニュアルを作成し標準化すること。
    4. (4)人工呼吸器に付属するネブライザーの使用手順については、マニュアルを作成し標準化すること。
    5. (5)加温加湿器に給水後は、加温加湿器水交換時の点検表に従い人工呼吸器および患者をチェックすること(参考資料⑥)。
  9. 警報設定
    人工呼吸器の各警報装置は、下記に示す意義を理解し、それぞれ適正値に設定すべきである。警報の設定値だけでなく、設定値を外れた場合に確実に作動することの確認が必要である。
    1. (1)最低分時換気量、最低気道内圧、無呼吸、低電圧の警報は救命的警報であることを認識し、設定すること。
    2. (2)最高気道内圧、最高分時換気量、頻呼吸の警報は、合併症予防の警報装置であることを認識すること。
    3. (3)呼吸回路への一時的な操作(加温加湿器やネブライザーへの蒸留水・薬液の補充、気管内吸引など)によって警報が作動しても警報装置の設定を解除しないこと。
    4. (4)人工呼吸療法の継続中に、人工呼吸器作動の一時的な中止に伴って警報解除を行なった場合には、その場で必ず復旧させること。
  10. モニター
    人工呼吸療法中は患者の呼吸に関するモニタリングが不可欠であり、余裕があればその他の生体情報をモニタリングすることが望ましい。
    1. (1)パルスオキシメーターによる経皮的酸素飽和度を連続的にモニタリングすること。警報装置を作動させること。
    2. (2)呼気二酸化炭素濃度を連続的にモニタリングする。波形も表示すること。警報装置を作動させること。
    3. (3)心電図を連続的にモニタリングすること。警報装置を作動させること。
    4. (4)人工呼吸器の分時換気量、気道内圧を連続的にモニタリングすること。
  11. 緊急事態への対応停電、人工呼吸器の故障、呼吸回路の損傷などの緊急事態に備えて、酸素投与下の用手人工呼吸用器材一式(蘇生バッグ、ジャクソンリース回路など)、気管内挿管用器材一式をベッドサイドに常備しなければならない。また、担当看護婦が異常事態を随時把握できるシステムであること、医師が即応できる体制であることが望まれる。

【Ⅲ】人工呼吸器の定期点検について

耐用年数を超えたと思われる人工呼吸器の定期点検、使用頻度の低い人工呼吸器の定期点検は、頻回にしかも綿密に行なうべきである。
  1. 病院管理責任者は、製造あるいは販売会社の使用説明書に従い、定期点検が実施できていることを確認すること。
  2. 定期点検は、業者の専門技術者と病院所属の臨床工学技士が分担すること。
  3. 定期点検者は、点検箇所とその内容を記録に残すこと(参考資料①)。

【Ⅳ】使用後の処理について

人工呼吸器使用後は、使用説明書および点検表(参考資料⑦)に従い、人工呼吸器、呼吸回路及び加温加湿器を、それぞれの特性に応じて洗浄、滅菌しなければならない。

【Ⅴ】人工呼吸中の偶発事故とその対策

人工呼吸管理中に生じたインシデントおよびアクシデントは多様であるが、頻度の高い発生原因や問題点はそれほど多くない。既に新聞紙上に報道された事例を引用し、人工呼吸器安全使用のための予防対策を提唱する。

  1. 人工呼吸療法中のインシデントおよびアクシデント事例
    1. 1)事例1
      人工呼吸器は接続されていたが、電源スイッチがOFFになっていたため、人工呼吸器が作動していなかった。5)
    2. 2)事例2
      人工呼吸器のバッテリーの充電が不足していたため、停電時にバッテリーが作動せず、人工呼吸器が停止してしまった。6)
    3. 3)事例3
      人工呼吸器の電源コンセントが何らかの原因で外れ、人工呼吸器が作動停止し、心電図のモニターのアラームが鳴って初めて気付いた。7)
    4. 4)事例4
      何ら異常がないのに人工呼吸器の作動が停止した。人工呼吸器は14年半使用したものであり耐用年数(10年目安)を超えていたが、定期点検はなされており、異常は指摘されていなかった。患者は意識不明となり肺炎を併発し死亡した。停止の原因は特定されなかった。8)
    5. 5)事例5
      何ら前兆なく人工呼吸器の裏面付近より出火した。9)
    6. 6)事例6
      加温加湿器の警報が頻繁に鳴っているので確認したところ、呼吸回路呼気と吸気の接続が間違っていた。10)
    7. 7)事例7
      低換気アラームが鳴ったので観察のためベッドサイドへ行くと、患者は心停止状態であった。加温加湿器のモジュールの長さ3cm、幅1mmの亀裂が原因と考えられた。11)
    8. 8)事例8
      患者の清拭を行う際には、人工呼吸器を外すので警報器が作動する。そのため習慣的に主電源スイッチを一時的に切って処置を行っていた。その日は清拭後に主電源を切ったまま、人工呼吸器を接続してしまった。12)
    9. 9)事例9
      喀痰による気道閉塞がおこりチアノーゼが出現したが、低換気アラームがOFFになっていたため、しばらく気付かなかった。6)
    10. 10) 事例10
      呼吸回路のチューブ接続部が外れていたが、低圧アラームの感知レベルを下げたままにしていたため警報装置が作動しなかった。6)
    11. 11) 事例11
      呼吸回路の接続不良に気付かず心停止となった。人工呼吸器の異常を知らせる警報装置のスイッチを入れ忘れたことが原因であった。13)
    12. 12) 事例12
      気管内吸引操作時に、低圧アラームが鳴るのでその感度を低くした。操作終了後、低圧アラームの感度を元に戻すのを忘れてしまった。その後、患者が低換気状態になったが、アラームが鳴らなかったので低換気状態に気付くのが遅れてしまった。6)
    13. 13) 事例13
      人工呼吸器の呼吸回数の設定を減らすべきところ、誤って増やしてしまった。6)
    14. 14) 事例14
      呼吸回路組み込みのネブライザーを作動させる場合は人工呼吸器の設定値を変更するよう指導されていた。その日はネブライザーの使用後設定値を元に戻さなかったため、血中二酸化炭素濃度が上昇し、アシドートスを起こしてしまった。6)
    15. 15) 事例15
      夜間にのみ人工呼吸器を指示された呼吸条件設定に合わせて準備されていた。しかし、その夜は人工呼吸条件設定の変更が指示されていた。夜勤スタッフがこのことに気付かず人工呼吸を開始した。別のスタッフにより指摘されるまで間違いに気付かなかった。6)
    16. 16) 事例16
      加温加湿器に水を補給した後、外していたチューブを接続したが、接続が不十分であったためガスリークが起こり、人工呼吸器が正常に作動しなかった。14)
    17. 17) 事例17
      呼吸回路のチューブの接続部が外れ、死亡事故となった。2)
    18. 18) 事例18
      加温加湿器のスイッチが入っていなかったため、喀痰が粘稠となり気管チューブが閉塞され、チアノーゼになっているのが発見された。6)
    19. 19) 事例19
      人工呼吸器の操作法を教わるために人工呼吸器を止めて操作していたところ、アラームが鳴り出し、それに気を取られて設定通りの酸素を流さず人工呼吸器を患者に接続した。6)
    20. 20) 事例20
      加温加湿器の蒸留水を交換する際、蒸留水ではなく消毒液であるエタノール入りのタンクを準備してしまい、それに気付かずエタノールを繰り返し注入してしまった。16)
    21. 21) 事例21
      加温加湿器に蒸留水を加える際に、間違って消毒液の入ったボトルを準備してしまったが、別のスタッフから指摘され間違いに気付いた。
  2. インシデントおよびアクシデントの原因と対策
    1. 1)人工呼吸器そのものの整備点検(事例1、2、3、4、5)
      1. (1)問題点
         (ⅰ) 不十分な人工呼吸器の保守・管理
         (ⅱ)非常電源の不備
      2. (2)対策
         (ⅰ)病院管理者は、人工呼吸器の保守・管理責任者を置き、責任の所在を明確にする。
         (ⅱ)人工呼吸器保守点検者は、人工呼吸器の取り扱い説明書に基づき定期的に保守点検をおこない、点検内容を記録する。
         (ⅲ)病院管理者は、瞬時特別非常電源(無停電コンセント)または一般非常電源コンセントを設置するか、人工呼吸器にバッテリーを常備する。
         (ⅳ)人工呼吸器の保守・管理責任者は、非常用電源あるいは人工呼吸器のバッテリー定期の点検を行う。
         (ⅴ)電源が遮断された場合を想定し、用手人工呼吸用器材一式をベッドサイドに常備する。
    2. 2)呼吸回路やアラームなど人工呼吸器全般についての知識不足と誤認識(事例6、7、8、9、10、11、12、13)
      1. (1)問題点
         (ⅰ)人工呼吸器を取り扱う医療従事者の知識不足。
         (ⅱ)人工呼吸器の警報に対する不適切な処置。
      2. (2)対策
         (ⅰ)病院管理者は、その施設の人工呼吸器を取り扱う医療従事者が講習会に参加できるようにするとともに、その施設内で勉強会を開いて知識の向上を計り、その記録を保管する。
         (ⅱ)呼吸回路の交換は、人工呼吸療法に熟練した医師、看護婦あるいは臨床工学技士の立会いのもとに施行する。
         (ⅲ)呼吸回路の交換が終了すれば、ただちにテストバッグを用いて人工呼吸器の作動状態をチェックし、設定された人工呼吸条件通りに作動することを確認する。この確認の後に患者に呼吸回路を接続する。
         (ⅳ)患者への人工呼吸器接続は、人工呼吸療法に熟練した者の立会いのもとで施行する。
         (ⅴ)呼吸回路接続後、ただちに呼吸音の聴取、換気量のチェック、パルスオキシメータや呼気二酸化炭素モニターの確認、人工呼吸器の作動状態の点検および患者の全身状態の観察を、人工呼吸「開始時の点検」に従って実施する。
         (ⅵ)呼吸回路交換時の点検、再接続装着後の人工呼吸器の点検および患者観察は、診療録あるいは看護記録に記載する。
         (ⅶ)使用前に全ての警報装置の機能を点検し、それぞれ適切な警報値を設定する。
         (ⅷ)警報値の設定変更は、医師が指示し、記録に残す。
         (ⅸ)人工呼吸療法中は、警報解除スイッチを操作してはならない。
         (ⅹ)警報音が発せられれば、警報内容をチェックして適切に対応する。対応できない場合は患者の安全を確保した上で、熟練者の支援を仰ぐ。
         (ⅹⅰ)警報音が届くところに看護婦あるいは患者介護者が常駐し、担当看護婦や医師が常時警報発生の原因に対応できるよう配慮する。
    3. 3)人工呼吸器の使用状況に対する確認と患者観察の不足(事例14、15、16、17、18、19)
      1. (1)問題点
         (ⅰ)人工呼吸器に設定された人工呼吸条件の通りに、患者が人工呼吸されていない事態が観察できない。
      2. (2)対策  (ⅰ)人工呼吸療法中は定期的に、また人工呼吸に関する処置が行われるたびに、患者のバイタルサインと一回換気量や呼吸回数などの人工呼吸器の設定と作動状況を記録に残す。
         (ⅱ)人工呼吸条件の設定は、担当医が指示し、診療録および人工呼吸点検表に記録する。
         (ⅲ)担当医は、設定条件を変更すれば、診療録および点検表に記録し、担当看護婦に報告する。
         (ⅳ)患者の全身状態を即座に把握できるように学習させる。
         (ⅴ)患者の全身状態の観察と各種モニター値との関連が理解でき、チェックができるよう学習させる。
         (ⅵ)人工呼吸器の作動モニター(一回換気量、換気回数、気道内圧)が観察できるよう学習させる。
         (ⅶ)上記の3項目の観察が習慣となるよう訓練し、観察事項を記録に残すことを義務づける。
    4. 4)その他(事例20,21)
      1. (1)問題点
         (ⅰ)加温加湿器の構造が理解できておらず、蒸留水補給操作が不適切である。
         (ⅱ)人工呼吸器に使用する蒸留水の容器が他の薬物の容器と似ている。
         (ⅲ)不必要に、蒸留水の容器移し替えが行われている。
      2. (2)対策
         (ⅰ)蒸留水補給は蒸留水ボトルから直接に点滴注入できるシステムが望ましい。
         (ⅱ)短期間の人工呼吸療法であれば適切なサイズの人工鼻を採用するのが望ましい。
         (ⅲ)加温加湿器用の蒸留水は専用容器に入った物を使用する。
         (ⅳ)加温加湿器の蒸留水の保管場所を一ヵ所にする。
         (ⅴ)容器を変更せざるを得ない場合は、ラベル等で他の薬物と区別できるようにする。

出典

  1. Kollef MH: Prolonged use of ventilator circuits and ventilator-associated pneumonia: a model for identifying the optimal clinical practice. Chest 113:267-269,1998
  2. 日本呼吸療法医学会・急性呼吸不全実態調査委員会:ARDSに対するClinical Practice Guideline. 人工呼吸16:95-115、1999
  3. EBMなし
  4. Kirton OC, DeHaven B. Morgan J、Morejon O, Civetta J: A prospective randomized comparison of an in-line heat moisture exchange filter and heated wire humidifiers: rates of ventilator associated early-onset (Community-acquired) or late-onset(hospital-acquired) pneumonia and incidence of endotracheal tube occlusion. Chest 112:1055-1059,1997
  5. 毎日新聞平成11年9月14日、東京新聞平成11年9月15日、産経新聞平成11年9月15日
  6. 日本医療機器工業会人工呼吸委員会資料
  7. 岐阜新聞平成10年11月27日
  8. 毎日新聞平成12年8月23日、産経新聞平成12年8月23日
  9. 朝日新聞平成12年4月30日、日経新聞平成12年4月30日、産経新聞平成12年4月30日、読売新聞平成12年4月30日
  10. 京都新聞平成12年7月31日、時事通信平成12年7月31日、東京新聞平成12年7月31日
  11. 毎日新聞平成12年8月18日
  12. 毎日新聞平成12年1月23日
  13. 朝日新聞平成6年1月11日
  14. 毎日新聞平成12年1月26日
  15. http://www.rise.waseda.ac.jp:80/adic/sokuho/jinkou.htm、読売新聞平成11年6月24日、朝日新聞平成11年6月24日、日本経済新聞平成11年6月24日
  16. ASPニュース2000.4(No.76発行平成12年4月11日)、朝日新聞平成12年3月8日、毎日新聞平成12年3月8日、日本経済新聞平成12年3月8日、東京新聞平成12年3月8日

篠崎 正博(委員長)
和歌山県立医科大学救急医学/教授
多治見公高
帝京大学救命救急センター/講師
磨田 裕
横浜市立大学集中治療部/講師
岡元 和文
熊本大学麻酔科/助教授
松川 周
東北大学集中治療部/助教授
星 邦彦
東北大学集中治療部/講師
杉本 保
大阪暁明館病院臨床工学科/科長
中村 郁香
川崎医科大学ME部
渡辺美佐子
名古屋第一日赤救命救急センター/婦長
丸川征四郎(担当理事)
兵庫医科大学救急災害医学/教授
0
注:点検表は機関誌「人工呼吸」第18巻1号p39-52, 2001年を参照下さい。
0
画面を閉じるボタン