会長挨拶


一般社団法人「日本リンパ浮腫学会」は、2024年3月16日(土)~17日(日)にウェスタ川越(埼玉県川越市)にて第7回日本リンパ浮腫学会総会を開催いたします。そして、今回の総会では「リンパ浮腫研究と患者・市民参画」を学会テーマといたします。
日本リンパ浮腫学会は、リンパ浮腫の実態を把握し、科学的根拠に基づいた標準治療の確立ならびに普及を目指して2007年に設立された日本リンパ浮腫研究会を母体としており、8年間の実績が認められて学会化への展開が発議され、2016年2月に発足いたしました。当学会はリンパ浮腫に関する基礎的ならびに臨床的研究を推進し、当該疾患概念の学術的進歩に貢献するとともに、学会員の研究、教育及び臨床力の向上を目的とし、これらの目的をリンパ浮腫の患者さんと市民の皆さんとともに考えていくことを宣言します。
日本におけるリンパ浮腫のほとんどは乳癌や子宮・卵巣癌などの治療後に四肢に発症する二次性リンパ浮腫であり、がん診療の一環として予防指導や治療が行われるべき進行性の後遺症です。リンパ浮腫の患者さんに対しては、いつでも、どこでも質の高いリンパ浮腫診療が提供される必要があります。このためには多職種の医療者が治療前から患者さんに介入し、リンパ浮腫の予防と早期治療のために協働できる体制の構築が求められます。現在リンパ浮腫の治療は圧迫を中心とした複合的治療が基本ですが、現行の治療では限界があります。このため、リンパ浮腫の基礎研究の新たな知見やリンパ管細静脈吻合術などの外科的治療などの新たな治療について、エビデンス(科学的根拠)を集積していく必要があります。
本学会は多職種による学会であり、多方面からの叡智を結集することができます。本学会は、リンパ浮腫診療のエビデンスを創出し、質の高いリンパ浮腫診療を多くの施設で提供できる社会の実現に貢献したいと考えております。皆様方のご参加を心よりお待ちしています。