大塚 圭, 才藤栄一, 加賀谷斉, 伊藤慎英, 田辺茂雄, 松田文浩, 谷川広樹, 山田純也, 青木健光, 金田嘉清
Jpn J Compr Rehabil Sci 6: 33-42, 2015
【目的】本研究の目的は,トレッドミル歩行の三次元
動作分析で表現できるリサージュ図形を用いたリサージュ概観図(LOP)の有用性を検討することである.
【方法】健常者19名,片麻痺患者2名,変形性股関節症患者1名を対象に三次元トレッドミル歩行分析を実施し,LOPを作成した.また,歩行分析に熟練した理学療法士3名が患者3名の歩行を視診で評価した.健常者のリサージュ図形は平均化し,作成した健常者グランドアベレージLOPと患者3名を比較した.
【結果】患者のLOPは,片麻痺者で遊脚期の分回し,
トゥクリアランス低下,骨盤挙上,立脚期の内側ホイップを,変形性股関節症患者では両側性デュシェンヌ徴候,立脚期の過剰な膝関節の屈曲など視診で認めた所見に加え,視診のみでは観察できなかった多数の所見を表していた.
【結論】各肢節の運動パターンだけでなく肢節間の位置関係から姿勢や対称性といった歩行の全体像を理解できた.
【キーワード】三次元動作分析,トレッドミル歩行,リサージュ図形,リサージュ概観図