原著

座位からの転倒―転倒者の特徴と予防対策実践の効果―

渡部喬之,迫力太郎,鈴木久義,真野英寿,川手信行,水間正澄
Jpn J Compr Rehabil Sci 6: 151-157, 2015

【はじめに】転倒の定義では,立位からの転倒と離臀を伴わない座位からの転倒は同様に扱われているが,転倒に至る動作の質は異なる.本研究は,座位からの転倒者の特徴を調査すること,その特徴を考慮した予防対策を実践し効果を検証することを目的とした.
【研究1】座位からの転倒者の特徴を後方視的に調査した結果,認知機能が保たれている傾向にあり,ベッドサイドで物を取る際に転倒することが多かった.これらの結果を踏まえ,患者教育を主とした転倒予防対策を検討した.
【研究2】予防対策の実践前後で転倒件数を比較したところ,立位からの転倒件数の減少は認めなかったが,座位からの転倒が対策前に比べ約5分の1に減少した.
【考察】実践した予防対策は,座位からの転倒予防に効果的であった.今後は,特定の転倒を予防するための対策を積み重ねていくことが必要である.

【キーワード】転倒,座位,転倒予防対策

第6巻 目次