原著

非測定下肢の固定がHand-Held Dynamometerによる股関節外転筋力測定値に及ぼす影響

谷川広樹,向野雅彦,松田文浩,稲垣圭亮,大塚 圭,加賀谷斉,才藤栄一,金田嘉清
Jpn J Compr Rehabil Sci 6: 137-142, 2015

【目的】Hand-held dynamometerによる股関節外転筋力測定において,非測定下肢機能が測定値に与える影響を明らかにすること.
【方法】健常者30名と片麻痺患者59名を対象とし,背臥位で両側股関節外転筋力を,非測定下肢を固定する方法(固定法)としない方法(非固定法)で測定した.同一法における左右および麻痺側・非麻痺側,固定法と非固定法での測定値を比較し,片麻痺患者では麻痺側筋力を従属変数,非麻痺側筋力と麻痺の程度を独立変数として重回帰分析を行った.
【結果】非固定法の計測値が固定法よりも有意に小さかった.健常者では非測定下肢の固定によらず左右の相関が高かったが,片麻痺患者では非固定法において相関が低かった.重回帰分析の結果,固定法における麻痺側筋力は非麻痺側下肢機能の影響を強く受けていた.
【考察】固定法では非測定下肢機能の影響を受け,測定下肢の筋力を正確に反映していないと考えられた.

【キーワード】股関節外転筋力,Hand-held dynamometer(HHD),片麻痺,非測定下肢,固定

第6巻 目次