青木佑介,加太俊太朗,尾関保則,田中貴志,太田喜久夫
Jpn J Compr Rehabil Sci 6: 129-136, 2015
【目的】準ランダム化比較試験で摂食嚥下障害患者に対する舌圧強化訓練の有効性と効果を検討した.
【方法】摂食嚥下障害患者34名を,舌圧強化訓練を含めた訓練を実施した群(介入群)とそれ以外の通常の訓練を実施した群(対照群)に無作為に振り分けた.3週間,週5日,40 分間の訓練を行い,介入群はその内10分間の舌圧強化訓練を実施した.介入前後に最大舌圧,嚥下時舌圧,Dysphasia Severity Scale(DSS),Eating Status Scale(ESS),Functional Oral Intake Scale
(FOIS),Mann Assessment of Swallowing Ability(MASA)
を評価した.
【結果】DSS,ESS,FOIS,MASAは介入群,対照群ともに有意な改善がみられた(p<0.01).最大舌圧及び嚥下時舌圧に関しては介入群のみで有意な改善がみられた(p<0.01).介入前後の変化量の比較では,介入群の舌圧,MASAで有意な改善がみられた(p<0.05)またMASA の項目で口腔・咽頭機能の改善がみられた.
【結論】舌圧強化訓練は摂食嚥下障害の改善を促進し,口腔期だけでなく咽頭期の改善に繋がることが示唆された.
【キーワード】舌圧,摂食嚥下障害,リハビリテーション,準ランダム化比較試験