対人ストレスの実体と予防法

1. 不快に思われたと感じる
 互いに実害がないのに対人ストレスが生じる状況としては、嫌われる・怒られる・悲しまれる・不機嫌になられる・冷たくされるなどが挙げられる。これらに共通するのは、人から不快に思われる状況である。実際に相手が不快に思っているかを知ることはできないので、正確には、人から不快に思われた (不快に思われるのではないか) と感じることが 対人ストレスの構成要素の1つである。

2. 自因感
 不快に思われたと感じてストレスが生じるときには、「私のせいだ」または「私の何が?」「私は悪くないのに!」という思いが存在する。これらの思いは、「(人が私にいだく感情を) 生じさせるのは私」という前提に基づいている (これを自因感と呼ぶことにする)。

3. 対人ストレスの実体A&B&C
A「不快に思われた (思われるかも)」
B「(人が私にいだく感情を) 生じさせるのは私」(自因感)
C「私は人を不快にさせたくない」
この3つがそろう (A&B&C) とストレスになり、1つでも欠けるとストレスにならないので、対人ストレスの実体はA&B&C (人を不快にさせたくない私が人を不快に という葛藤)である。
ここで、相手が私にいだく不快 の実体もA&B&Cである。本稿では自分のA&B&Cを"ストレス"、相手のA&B&Cを"不快"と呼び分けている。

4. A&B&Cから生じる感情や行動
(1) 自分を責める
 悲しむ・完璧主義 (絶対に不快に思われたくない)・死にたい。
以下は、Cがあるのに利他的でない。
(2) 人を責める (不快になるな!)
 怒る・嫌う・威圧・過剰な承認欲求。
(3) 親切にしたくない
 親切にして不快になられると「私はどうやっても人を不快にしてしまう」と"絶望"。これを恐れ 親切にしない。さらに、過去の"絶望"を薄めるため、迷惑をかけ「私はどうやっても許される (人を不快にさせない)」と感じたがる。
(4) 親切にされて不満
「親切にしてくる人は不快に思っている (←(3)より)」(A) +「私が不快にさせてしまった」「私は頼んでないのに」(B) + C で不満に。Bがなければ ねぎらう気持ちで感謝を示せる。
(5) 互いに
 例1. 親に怒られたと感じた(A) 子(B,Cあり) が悲しみ、それを見た(A) 親(B,Cあり) が怒り…
 例2. 街ですれ違う人の不穏さを感じ(A) + B + C で不穏に (道をゆずらないなど←(3)より)。

5. 相手のA&B&Cを思いやればストレスは生じない
 私にAが生じたときに、相手のいだく不快 の実体A&B&Cを思いやると「私が穏やかでも相手のAは生じる。相手のB,Cは相手の性質」と気づいて私のBが消えるためストレスは生じない。
 BがなければCに沿って、相手をそっとしておく・いたわるなど利他的に行動できる。
© 2019 武井邦夫 (精神科医)